お皿洗い

田舎の町でエンジニア。趣味のお話をふわっと書きます。

プライベートテスト Day-2

 

f:id:sara-arai:20210113220221j:plain

- プライベートテスト Day-2 -

今回乗る車両はランボのウラカンGT3を選んだ。見た目が良いので。

 

今日からちゃんとPC2(projectCARS2)をやっていきます。はい。

まずはデフォルトのセット内容をじっくりと吟味する。闇雲にセットを弄り倒すのは迷走してしまう気がするし、そして何より僕がブラインドテストというものが苦手なので、テスト前の予習はやっておきたい。

感度が高い人ならブラインドテストでビシッとあれこれ決められるんでしょうけど、残念ながら僕にはそんなスキルは持ち合わせていないので、数字から得られる情報のバイアスをガンガンにかけていきます。風評と偏見のモノづくり。数字は裏切らない。

 

f:id:sara-arai:20210113220959p:plain

f:id:sara-arai:20210113221020p:plain

とりあえずサスペンションとダンパーの数字。絶対値出されても良くわからないので、減衰比で見えるように整えます。

上記の情報の他に、PC2内で車両重量が1275kgという情報と、下記のページから前後重配が48:52という情報を得た。ついでに販売価格が$396,000ということも知った。お金持ちのおもちゃである。

 

諸々の諸元値から、減衰比(=臨界減衰係数と実減衰係数の比率)をえいっと算出したのが下記の右下。小さくてごめんね。

f:id:sara-arai:20210113221852p:plain

PC2でのダンパー特性のストローク速度を指す区分けが「Slow」と「Fast」の2つあって、それぞれが具体的にどの速度が含まれるのかがわからなかったけど、とりあえず適当にSlow=0~0.1[m/s], Fast=0.11~1.0[m/s]と定義した。

(こんな直線のダンパー特性なんて現実離れしてるけど、まぁ一旦はこのままやる)

 

こう見ると、バンプ側(圧縮側)が弱め、リバウンド側(伸長側)が強めの味付けがデフォとなっているのがわかる。バンプ弱めといっても減衰比0.9は超えててかなり硬そうだけど。

…というか当たり前のようにリバウンド側が圧縮比1を超えてきてるのが面白いね。

あと、ストローク速度「Fast」になると大きく減衰を抜いてるのは、縁石に乗り上げたときのショックを吸収する為なんですかね。知らんけど。

 

全体的にはバンプ弱/リバウンド強ということなので、狙っている挙動はステアを切ったらシュッとロールアングルが出てピタッとキマり、そのまま外輪に荷重を掛けてスーっと旋回していく姿なのでしょうね。擬音語が止まらない。

路面が整ったスピードレンジ高めのサーキットだとこれが気持ちいいと思う。スパとか。

ただ今回はニュルである。凸凹の路面にアップダウンの激しいところばかりで、美しい姿勢なんぞ出るはずがない。ここはやはり姿勢を出して曲がるのではなく、ステア切り始めからのヨー応答をいかに出すか…姿勢が出る前の過渡領域でのグリップが欲しくなってくる。

個人的にはニュルのセッティングの理想は2019年のマンタイレーシングの911で、あのようになりたいね。めっちゃしなやかに走るのよ。


ADAC 24h Race 2019 Nurburgring Kevin Estre pass for the lead 277 KPH @ 9:20

そういう感じの味付けを探していきましょう。

 

今日はここまで。…PC2全く走らずにエクセル叩いただけじゃん。明日から走り込みます。

 

プライベートテスト Day-1

f:id:sara-arai:20210112211637j:plain


お久しぶりです。

最近、Assetto Corsaの首都高Modにハマった。すこぶるハマった。毎週のように有志の皆さんと仮想空間の首都高ドライブ(イマジナリー首都高。略してイ都高)に没入し、964を転がしながら人生を謳歌している。

好きな音楽を聴きながら適当にグルグルと夜の高速を走るだけのそれがめちゃくちゃ楽しい。現実でも割とよくやる遊びなんだけど、VRも現実に負けない程には"あの空気"が存在し、それを気軽に自宅でのびのびと楽しめるのは大変有意義なもの。ステアリングコントローラー+VRの組み合わせ、是非にお試しを。

 

そうやって何度もイ都高をこなしてきた訳だけど…やはりこう、出てくるのよね。最初は穏やかに流すだけだったのに、段々とスリルを求めてスピード域を上げてくる元気な方々が。僕もですが。

イ都高は所謂レースシミュレーションに馴染みのない人もリラクゼーションを求めて走ってる場なので、そこでバチバチと激しいことをやるのはちょっと気が引ける。(ちなみに僕はイ都高を走る時は、マーヴィン・ゲイと八月二雪を良く聴いてます)

でも、たまには思いっきり走りたい!せっかくのVRとハンコンだぜ?なぁ?

 

…ということで、そういった3~4人の為にイ都高サーバーに建てられたチャンネルが「projectCARS2部」。もはやAssetto Corsaは関係ない。

f:id:sara-arai:20210112213343p:plain

レースします。ガチでやります。

全5戦のシーズン戦で、ポイントに応じてハンデ(ウェイトorリストリクター径)を加算していく某国内レースの形態。数Lapの超スティントレース。

車両カテゴリーはGT3。開幕戦は1/26、サーキットはニュルブルクリンク24H複合コースで、それ以降のサーキットは各プレイヤーの指定した場所。

盛り上がってきたね~~。3~4名が。

 

で、そのレースに向けた諸々の準備をする訳だけど、諸々のそれをここに忘備録も兼ねて記事として書いていきます。そういうやつです。はい。

 

 

- プライベートテスト Day-1 -

 

ニュルブルクリンク。改めてどういうコースなのかじっくりと知りたくなったので、さっそく走った。Assetto Corsaで。

本当ならレースで使うprojectCARS2使いたいところだけど、PC2がmotecログデータに対応していないので、仕方なくACを使った。ゲーム違いによって各モデルや挙動演算に違いはでるだろうけど、おおよそのイメージは一緒だと思うので気にしない。どちらもウラカンGT3使えるし。(今回はウラカンGT3でエントリーしようと思ってます)

ラカンのセットアップはACデフォルトのまま。トラックコンディションは外気温26℃の快晴。

f:id:sara-arai:20210112220126p:plain

f:id:sara-arai:20210112220134p:plain

f:id:sara-arai:20210112220146p:plain

psiとかいう単位、許さない…



アウトラップ含めた全3ラップを走ったので、i2でふわふわっと見ていきます。

f:id:sara-arai:20210112215917p:plain

motec i2画面。グラフの種類や設定は自分の好きなようにカスタマイズできる

 

[G peak]

long: -2.27 ~ 1.23 [G]

lat: -2.73 ~ 2.83 [G]

vert: -1.521 ~ 4.43 [G]

f:id:sara-arai:20210112221234p:plain

 

[Sus travel]

FL: 1.01 ~ 73.82 [mm]   pit: 14.71 [mm]

FR: 0.57 ~ 63.96 [mm]   pit: 16.45 [mm]

RL: 1.31 ~ 71.69 [mm]   pit: 22.84 [mm]

RR: 1.69 ~ 78.21 [mm]   pit: 19.45 [mm]

 

[Tire Load]

FL Peak: 15058 [N] / Ave: 3485 [N]

FR Peak: 13226 [N] / Ave: 3385 [N]

RL Peak: 15675 [N] / Ave: 5095 [N]

RR Peak: 19562 [N] / Ave: 5025 [N]

f:id:sara-arai:20210112222631p:plain

 

[Tire Temp (Center)]

FL:  53.85 ~ 86.42 [℃] / Ave: 71.66 [℃]

FR:  52.07 ~ 82.54 [℃] / Ave: 70.33 [℃]

RL:  67.36 ~ 90.24 [℃] / Ave: 77.11 [℃]

RR:  66.47 ~ 84.10 [℃] / Ave: 76.70 [℃]

 

[Tire Pressure]

FL:  152.02 ~ 170.80 [kPa] / Ave: 161.78 [kPa]

FR:  150.97 ~ 166.36 [kPa] / Ave: 160.39 [kPa]

RL:  158.93 ~ 178.86 [kPa] / Ave: 169.35 [kPa]

RR:  160.09 ~ 173.82 [kPa] / Ave: 168.93 [kPa]

f:id:sara-arai:20210112223556p:plain

 

[Damper Vel Histogram]

f:id:sara-arai:20210112223827p:plain

 

こんな感じのサーキットらしい。

タイヤ空気圧の演算はACとPC2でかなり違った印象なのであまりアテにならないかもしれないけど、足回りの動きはまぁそれなりにPC2でも使える情報でしょう。多分。

 

今日はここまで。明日からPC2の方で走ります。しっかり睡眠時間を確保しなきゃ…

絵描き歌

f:id:sara-arai:20200423205100p:plain

 

「車の絵を描いてください」

 

そう言われて、まず何の線を描くか…?

なんとなくボンネットあたりから線を引き始め、そのままフロントガラス、ルーフ、リアガラスと車のボディ上面をなぞり、そのままトランク(リアハッチ)を経由して今度はボディ下面をなぞり最後にヘッドランプに到着する。こうやって書く方は結構多いと思う。僕もそうだった。

ここでの個人的な推奨は「タイヤだけを描く」。

今日はそういう話。(モデリングテクニックの話題ではない、お車モデリングの体験談)

 

1.

機械や道具というものは必ず自身の存在意義となる目的を持っている。ハサミであれば紙を剪断する、カメラであれば写真を撮る、信号機であれば人に特定の色を視認させる…といった具合に。そして、その目的を実行するために必要な機構や、適した形状をしている。していなければならない。

機構的デザインをする際、この目的を第一に考えて組み立てていくと、破綻のない合理的なデザインができあがる。ハサミで例えると、剪断をする刃のサイズを決め、そこを開閉する為に必要な回転軸を設け、それらを人の手で扱えるように指の入るサイズの輪を付けてあげればハイ完成。もし手に馴染まないのであれば、用途や手のサイズに合わせて各所の形状を変えればいい。すべてが正しい。

だが、それではつまらないと声を上げる観点がある。意匠的デザインだ。

機構的デザインで出来上がるものは、それこそ機械的に出来上がる個性のないものになる。そこに官能的で定性的なパラメータを持たせるのが意匠の力である。直感的に人の所有欲に訴えるのはこっちの方だろう。

ただ、意匠的デザインのアプローチで組んだものは、機構的に破綻することが往々にしてあって……まぁ、そんなことは遊びでのモデリングにおいてはどうでもいい。

とにかく最初にタイヤを置く。

そしてそれ以降の作業は全て、最初に置いたタイヤを基準に配置していく。これが良いと思う。

ここで置くタイヤはしっかりと狙ったサイズを指定すると後が楽になる。

その際、狙っているサイズをシンプルに「幅」と「径」の数字で指定したいところだが、一般的にタイヤのサイズを示す数値は「タイヤ幅」と「扁平率」と「ホイールサイズ」で"235/40R18"といった具合に表示されることがほとんどで、「径」の物理値の情報が意外と拾いにくかったりする。地道に扁平率とホイールサイズから計算すればいいだけの話だが、タイヤ通販サイト等でも算出してくれたりするので、そういうところを使ってタイヤ径を得るのが楽だと思う。JATMAの規格値が見れるのであればそれが一番手っ取り早いが。

4輪の相対位置、つまりはホイールベーストレッド幅もしっかりと狙いの値を入れておくと良い。実際にモデリングをするのは左右どちらかの半身だけ(最後にミラーリング)なので、トレッド幅に関しては1/2の値を原点軸からの距離として置くことになると思う。

タイヤを置いたら、カーモデリングの6割は終わったと言っていい。

 

 

2.

タイヤの次に何を作るか…?

ここで早速ボディのデザインを始めたい気持ちがよくわかるが、実はまだ早い。ボディよりも重要な、車にとって欠かせない物をここで置く。

 

ドライバーである。

f:id:sara-arai:20200423215339p:plain

あらかじめ運転中の姿勢を作ったドライバーの3Dモデルがあると、ここで革命的に捗る。

※ただし、ここで「可愛いから」とあまり頭身が偏ったモデルを使うと厳しいことになるので、出来るだけ現実的な頭身と身長のモデルを起用する方が良い。

 

先に置いたタイヤとの相対的な位置を観ながら、ドライバーを配置する。ここでは(車の進行方向に対し)前後方向だけの位置を見ればいい。左右位置や高さ方向はどうせ終盤に微調整を行うことになるのでおおよそで良い。前後位置も悩むようであれば、とりあえず前後タイヤの中間点に置けば失敗はしない。

f:id:sara-arai:20200423220247p:plain

ここで冒頭の「車を何処から描く?」問題に繋がるのだが、車をボディから描いてしまうと、慣れないうちはボディも前後対称に描きがちで、その後に配置されるドライバー位置もリアシートと前後対称になる位置に置かざるを得ず、かなり可愛らしいバランスの良いアンバランスなお車を生むことになってしまう。これはモデリングでも同じことが言える。

車というもの、例え4ドアのセダンであってもボディデザインは前後対称ではないのだ。ドアウィンドウとタイヤの位置関係を比較すればすぐに気が付くことだが、タイヤを軸に観たときにドライバーが常に中央にいるようにデザインされている。少なくともここ20年はそう。

これを踏まえ、タイヤに次いでドライバーを配置できたのであれば、このドライバーとタイヤを包むよう(破綻しないよう)に程よい曲線で車っぽい線を描いてみると、思っている以上に車っぽい線が引けるはずだ。スポーツクーペでもセダンでも、フォーミュラカーでも良い。

f:id:sara-arai:20200423222131p:plain

ここまで到達すれば、もうカーモデリングは8割は終わったと言える。

 

 

3.

「タイヤとドライバーを実サイズでしっかりと配置する」というプロセスを経て引いたボディラインを元に、えいっと造形をすれば車がおおよそ完成する。ここはもう車云々というよりも、単純にモデリングのテクニックの話なのでそこは皆さんの方が詳しいだろう。流派も色々とあるでしょうし。

f:id:sara-arai:20200423222215p:plain

f:id:sara-arai:20200423222430p:plain

ここまで9割。あともう少しで完成だ。

 

 

4.

最後の仕上げ…というよりも、カーモデリングとしての完成度(≒自己満足度)を跳ね上げるテクニックとして、「ホイール周りのモデリングをガチる」というものがある。あった。実際に作りながら実感した。

f:id:sara-arai:20200423222825p:plain

車というもの、ぱっと見た際に視界に移る表面積の約1/5はタイヤ・ホイールが占めている。実は存在感がかなり大きい部位。故にホイール交換で車の印象が大きく変わるのだ。

あと、ホイールは構造上、円形の幾何学的な造形で構築されるものがほとんどだ。つまり、造形作業が他の部位に比べて圧倒的に楽なのだ。僕が作った10本スポークのホイールも、実際には線を描いたのは1本のスポークだけであり、それをミラーリングで2本1組の対称にし、更にそれを円形のパターン配置で5組/360°になるようにコピーしただけである。

作りこみに対する費用(時間)対効果がとても高いのだ。ボディの部分的な修正に拘るぐらいなら、ホイールに凝った方がおおざっぱな満足度は得やすい。

 

あと、今回は興が乗ったのでブレーキシステムもフルスクラッチをした訳だが、これがなかなか面白かった。ホイールモデリングの記事はちょいちょい見つかったが、ブレーキキャリパーのモデリング記事は全然見当たらなかったので、完全に我流だったが。

 

f:id:sara-arai:20200423224852p:plain

まず、適当にブレーキディスクをえいっと造形する。サイズなどは実在する物のカタログを参照すれば大体作れる。ちなみに僕はBremboを参考にした。APと悩んだが。

 

f:id:sara-arai:20200423225052p:plain

次にブレーキの有効径を決める。

有効径というのは、そのブレーキディスクに対して制動モーメントを発生させる摩擦力(≒垂直抗力)の中心位置である。上の画像だとφ298mmがそれ。

ブレーキの制動力はディスクとパッドの摩擦によって得られるものだが、ブレーキディスクにブレーキパッドを押しつける役割はブレーキキャリパーが持っており、キャリパーにある円形のピストンがその機構部分である。このピストンの中心点がこの有効径に位置する(ようにキャリパーを配置する)

ちなみに、このキャリパーのピストンはブレーキフルードの液圧で押し出されるものであり、液圧の発生源はドライバーのブレーキペダルである。こうやって人と車は繋がっているんです。

 

有効径を決めたら、その円周上にキャリパーのピストンの円を配置する。今回は対向6potブレーキを作りたかったので、片面に3つのピストンを並べた。なお、キャリパーのピストンは基本的に異径である。これが意外と知られていない。

ピストンの異径にすることで、制動時のディスクの振動や異音を防ぐことができる…といったブレーキメーカーの何十年も煮込んできたノウハウがここに詰まっている。なぜこのサイズが良いのか?なぜこの組み合わせなのか?…まったく想像ができないが、何か「良いこと」が詰まっているらしい。

(とはいえ、カタログにはこれらのサイズも全て記載されている)

 

ピストンの円が置けたら、あとはえいっと肉を盛ってキャリパーの出来上がり。

f:id:sara-arai:20200423230510p:plain

ディスクを置き、有効径を決め、ピストンを置き、肉を盛る。このプロセスで行けば、適用にやってもそれっぽいブレーキキャリパーが作れると思う。

 

お洒落は足元からというが、ブレーキまで作りこんだモデルはレンダリングしてみるとかなり見応えがあるものにある。これはかなり満足の出来。

f:id:sara-arai:20200423230800j:plain

 

【まとめ】

機械モノのモデリングは、とにかく理屈と数字で線を引くことが積算で効いてくる。

 

 

ぜひ、皆さんもやってみてね。VRで愛車自慢オフ会やろうね。

f:id:sara-arai:20200423231210j:plain

f:id:sara-arai:20200423231237j:plain

f:id:sara-arai:20200423231225j:plain

 

GHOST-FOX クイックユーザーガイド

このたびは、"最高の時計"シリーズ「GHOST-FOX」をご着用頂きありがとうございます。

f:id:sara-arai:20200407202748p:plain

本書は時計を最適化、機能付与、改変をして頂くにあたって、参考として構造をご理解頂く為のクイックユーザー(がカスタマイズすることで初めて完成する、製作者の責務丸投げアイテムを受け入れてもらうための)ガイドです。

 

[注意事項]

開封直後の時計は非常に高密度の頂点が詰まっており、そのまま使用されるとアバターランクが激しく負傷をする恐れがあります。安全で快適にお使い頂くために、本書をよくお読み頂きますようお願い致します。

 

※時計の仕様などの変更により、本書の内容が実際の時計と一致しない場合がありますのでご了承ください。

 

 

1. 構成部品・名称

f:id:sara-arai:20200407222705p:plain



 

 

 

2. ご使用前の準備

「GHOST-FOX」は、ユーザーのお好みに合わせてカスタマイズをして頂くこと前提とした時計です。UnityPackageを開封したら、まずは各種マテリアルをお好みの色や質感にカスタマイズをしましょう。

(金属パーツと樹脂パーツを意識して使い分けることをおすすめします)

f:id:sara-arai:20200407213719p:plain

ポリゴン数、メッシュ数、マテリアル数等の各種最適化についても、下記の構造説明を参考にしながらユーザーのお好みに合わせて「えいっ」と行ってください。

 

 

3. 機能・構造説明 

本章では「GHOST-FOX」の設計時に想定していた構造の説明を記載します。

あくまで現実における時計の構造を想定したものであり、VRC実装における推奨機能という意味合いではありません。VRC実装はユーザーの自由に行ってください。

 

3-1: 時刻合わせ

リューズをカチッとするまで引き上げ、前後に回すことで時刻合わせができます。

(ところで、現在時刻を取得できたら硬いリューズに爪を立てなくて済むので嬉しいですね)

f:id:sara-arai:20200407221749p:plain
f:id:sara-arai:20200407221807p:plain

 

 

3-2: 時間の読み方

時針、分針、秒針が現在時刻を示します。

f:id:sara-arai:20200407223054p:plain

 

 

3-3: クロノグラフ(ストップウォッチ)機能

スタート・ストップボタンを押すと、クロノグラフ機能がONになり計測を開始します。再度スタート・ストップボタンを押すと計測を一時停止させ、リセットボタンを押すことで計測を0に戻します。

クロノグラフ機能を使用している際は、秒針がクロノグラフとしての秒針になります。

積算計はクロノグラフ機能での計測時間(分)を示します。

(ところで、ワールド滞在時間を積算計で示せたら収まりが良いですね)

f:id:sara-arai:20200407223814p:plain

 

 

[お詫び] 秒針の軌跡について

秒針が15~30秒の間は、積算計の背面側を通過する仕様(デザイン)となっています。その間、秒針が視認し辛い状態になりますが、デザイン上の都合によるものであり不具合ではございませんのでご了承ください。
f:id:sara-arai:20200407224325p:plain

関係各位、大変なご面倒をおかけしてしまいます。誠に申し訳ございません。

 

 

3-4: プロジェクター

ガラスを挟み込む形で、内側と外側にそれぞれ映像投影用のプロジェクターがあります。内側のプロジェクターは文字盤及びガラス面への映像投影、外側のプロジェクターはガラス面の上空(空中)への映像投影ができたら、いいなぁ……(願い)

f:id:sara-arai:20200407225530p:plain

3-5: センターロック式アルミ鍛造ホイール

f:id:sara-arai:20200407225723p:plain

洋服の袖口に引っ掛かりまくるこのホイールは、私がかわいいかなと思って置いたものです。本来、機構としての役割を持たない部品を置くのは機構設計ではご法度ですが、この時計に関してはユーザー層の懐が深いので別にいいかなと思って置きました。

 

4. 故障かな?と思ったら 

みんなで一緒に相談しましょう。

 

 

 

受け取る側がカロリーを消費するファンアートで大変恐縮なのですが、少しでも長く愛用頂けると嬉しいです。何卒宜しくお願い致します。

f:id:sara-arai:20200407234954j:plain

デザイン・モデリング: sara-arai,  Kawaii Ghost Fox: 幽狐ちゃん

 

最高にキュートな幽狐ちゃんはこちらから。

booth.pm

 

雨はもう止んでいて

f:id:sara-arai:20200301212937j:plain

 

※本記事は、VRChat謎解きワールド「アスタリスク花言葉」のネタバレを含みます

 

 

 

アスタリスク花言葉 -Asterisks' Will-

 

公開から割と早いタイミングから挑戦していたものの、僕自身がVRCへ入る頻度が少ないこともあり最終的にクリアするまでに6ヵ月近くの期間を要した。実際のVRCのプレイ時間は50~60時間程度。まぁ、このアスタリスクはVRC外での行動も伴う為、それらを含めた総プレイ時間は結構なことになっている。

攻略中は思考と挫折と感嘆を繰り返して心が多忙を極めた故に、それをクリアした達成感はそれなりに強く、一種の喪失感のようなものまで感じているほど。ただ、この勢いままにこの作品の解釈を図る技量と度胸を僕は持ち合わせていないので、このモチベーションは僕自身の振り返りにぶつけることにした。これまでの出来事も含めて。せっかくなのでね。

 

 

 

では、改めて…

※以下、VRChat謎解きワールド「アスタリスク花言葉」の致命的なネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

※以下、映画「Ready Player One」の軽度なネタバレを含みます

※以下、ゲーム「Doki Doki Literature Club!」及び「Doki Doki Literature Club!  Monika After Story」の致命的なネタバレを含みます

 

 

[1]

ヨツミさんと出会った…というより、初めて一方的に見かけたのは恐らく"某所" 旧2.0だったと思う。当時はWebPanel全盛期で、インスタンス毎の滞在者が確認でき、更にはそのインスタンスへ直で飛べる機能を持つ非常にクレバーなリスト(ふぁいふぁい)がバリバリと稼働していた。街を歩けばWebPanelエンジンのギミックと櫻歌ミコが溢れていたあの頃だ。まぁ僕はそうそう街の散策などしていなかったのだが。

某所旧2.0会場2階のバーカウンターに座っていると、ふらっと現れた青白い大きな背丈でさっぱりとした顔のアバターに目が留まった。脚のない浮遊体、宙に浮く指、そびえ立つ耳。そして「きれいな青だな」と感じた色。印象に強く残っていた。

初めて言葉を交わしたのは"盆"だった。盆会場の設置されたオブジェクトにしか見えない"境内そのもの"に姿を変え、あの空間の屋台骨になっていた献身的な彼を見て、どうしても感謝と称賛を伝えたくて話しかけたのだ。境内の鳥居あたりに「y23586」のネームプレートが浮かんでいたので、その鳥居に向かって「身動きひとつ取れずに大変ですね」的なことを話しかけ、鳥居から「いえいえ~」的な返事を貰っていたと思う。

この時のヨツミさんは何故かカメラを向けると「決して納得はしていないがここは留飲を飲む」表情をしていた。

f:id:sara-arai:20200213005138p:plain 

ようやく普通の笑顔を見せてくれたと思ったら、今度は後頭部がお取込み中だったり。

f:id:sara-arai:20200213225537p:plain

f:id:sara-arai:20200213225608p:plain

彼は色々な姿へ変化していったが、盆の滞在中のかなりの時間を境内として過ごしていた。盆に参加した他のプレイヤーらの写真にもあの境内が写っていたことだろう。

イベント開始から繋ぎ続けたDJのリレーもいよいよ50時間を超えた午前4時、夏の雪が積もる境内で踊り続けたあの時間は、"空間側"に立ってくれたヨツミさんやその他の多くのプレイヤーが居たからこそ巡り合えたものなのだ。あの空間は空も飛べると思える程の高揚感に包まれていた。

f:id:sara-arai:20200216155541j:plain


f:id:sara-arai:20200216155455j:plain

f:id:sara-arai:20200213230311p:plain

ヨツミさんに限らず、多くのプレイヤーが持ち込んだ風情が積算された夜だった

この盆の印象と感情を心に強く焼き付けた僕は、それを何かしらの形にしてアウトプットへ昇華させたかった。

それは、盆から約1年半後に製作したVJにて達成した。

sara-arai.hatenablog.jp

 このVJの後半シーンにて、"ランタナの居る空間では境内が見えず、ランタナが居ない空間では境内が見える"というシチュエーションがある。これは、あの盆のヨツミフレームのそれを再現したものだ。僕の捻くれた脚色を付与しながら。

f:id:sara-arai:20191110134107p:plain

f:id:sara-arai:20191110134118p:plain

この"盆の境内"をきっかけに、彼に対しては"向こう側に居る人"という漠然としたイメージを持つようになった。何かを発信する際、そして受信する際の視点の置き方がとてもユニークなのだと思う。僕にはできないことだ。

そんな想い入れがあったので、4部屋目にて鳥居をアレする際には「お前は!一体!何処から!何を!見ている!のだ!教えろ!おのれ!ヨツミ!フレーム!」と、一撃毎に魂を込めた気がしないでもない。

 

 

[2]

僕はもともとSF映画をあまり観ない方だった。サイエンスは好きだが、フィクションよりはドキュメンタリーを欲するタイプの人間だ。

…が、VRCに入り浸るようになると、そこには(少なくとも僕の周辺にいる方々は)やたらとSF好きな方が多く、特に深い経緯もなく「みんなが観てるから」という理由であっさりとその手の映画を見るようになった。

その流れで見た映画の一つがマトリックスだった。

観たタイミングはアスタリスク公開の約半年前。内容についてそこそこ記憶に残っている状態でアスタリスクをプレイしたので、2部屋目は扉に書いてるウサギちゃんメッセージをきっかけに比較的容易に突破できた。運が良かった。

…が、3部屋目攻略を始める前に、攻略にあたって思い出してしまったマトリックスをまた観たくなってしまったので、一旦アスタリスクを放置してマトリックスの再履修を行った。3部作通しで。

アスタリスクは鍵のヒントがVRC以外のコンテンツに隠されているものが多い。攻略の為にはそれらのコンテンツを調べたり視聴したりすることになるのだが、それらのコンテンツがやたらと僕の好みの物が多く、鍵探しのつもりがどっぷりとコンテンツそのものを楽しんでしまい、当初の目的(アスタリスク攻略)を見失いがちになる。僕がクリアに長い期間を要してしまう要因はこれが大きかった。

 

あと、僕には、"大勢の人が称賛するものほど距離を置きたくなる"という残念な癖がある。全米が泣いても僕は泣かない、そう信じてやまないマイノリティ思考。同感してくれるオタク各位、今後も何卒宜しくお願い致します。

ただ、これは友人や職場といった親しいコミュニティの中では当てはまらないことが多かったりする。そういった身近な人から勧められたものは喜んで乗っていく。

SF嫌いだった自分が今となっては普通に楽しんで観るようなったということは、VRCで知り合えたコミュニティは僕にとって身近な存在として認識しているのだなと、床に落ちている見えない小銃を探しながらそっと理解をした。

ちなみに、映画を観た後にはこうやってその映画を全てわかったような人みたいなことを安直に呟いちゃうぐらいには僕は軽率でミーハーである。僕の手のひらは返すために存在している。覚えておくと良いかもしれない。

 

 

[3]

今更こんなことを言うのもどうかと思うが、僕はVRというものがよくわからない。VRとは何だ?両目に近接するレンズに投影される映像のことを指すのか?それをネット経由で遠くの誰かと同期することを指すのか?一体何なのだお前は…と。

この手の話はもう散々され尽くしてきた感があるが、未だに納得できる解釈を得られていなかった。特に"VR"の対義で"現実"を挙げた話が本当に難しい。VR体験する為には、機器設置や部屋(環境)づくりに始まり、装着時の人体への負荷や充電の管理等、VR無しで過ごすよりも現実での面倒事や制約が増える。嫌になる程に激しい現実への干渉だ。

僕はおかげさまで某所でDJ遊びを細々とさせて貰っているのだが、このVRCをしながらDJをするという行為こそが最大級に現実干渉著しいVR行為であると思う。ざっくり言えばHMDを被りながらDJをやり、音ならびに映像をストリーミング配信をするということだが、具体的には下記の現実での事象が発生する(僕の環境の場合)

  1. DJ機材はHMDと鼻の間のジャパニーズクリアランスから覗かなければならない。またはHMDを額まで持ち上げ頭を締め付ける
  2. VRコントローラーをDJブースの"トラッキングが飛ばない"適当な場所に置かなければならない。(僕の場合、ブースに空き地が無い為ミキサーの上に置くしかない)
  3. ヘッドホンはDJミキサーに繋ぐ為、VRCの音が聴こえない
  4. 後ろにはHMDケーブル、前にはDJミキサーからのヘッドホンケーブルと、前後を配線で縛られる
  5. DJおよびVJ用midiコンとVRCの干渉、マシンスペック不足によるハングアップ等の"そういう類のトラブル"回避やケアが必要
  6. 疲労(主に頭部)

f:id:sara-arai:20200216151544j:plain

前後をケーブルで縛られる頭部、ミキサーに鎮座するviveコン


これらの事象は人(環境)によって変化するものだが、少なくともVRCとDJを並行で行う以上何かしらの制約や負荷は不可避なのだ。しかも最近ではVJまでやるようになっちゃったのでより一層エクストリームに。

そのような状態につき、VRCでDJをしている最中に関してはVR没入感はほぼ皆無と言っても良い。むしろ現実でDJをするよりもアグレッシブに現実を全身で感じている。ただ、没入感は無くともVRC空間を感じないということではなく、踊ってくれている人がいる空間をHMDで眺めながらDJをするのは本当に楽しく嬉しい訳で、その為にこれらの現実負荷を背負ってまでも挑み続けているのだ。

恐らく、この「踊ってくれている人がいる空間をHMDで眺めながらDJをするのは本当に楽しく嬉しい」というのが、僕がDJという行為で得たいものなのだろう。そして、現実でそれを得るのはそれなりに大変な訳で、それを容易に得ることができる新たな手段、それがVRだったということだ。HMDレンズの映像がどうとか音がどうとか、そういった表面上のインターフェースの向こう側にある"それ"。これを本質というのだろうか。

やはり、他人の視点からの解釈だけではなく、自分の視点からの解釈があって初めて理解へと繋がるのだなとしみじみ。

 

 

[4]

f:id:sara-arai:20200216155746p:plain

1%個展周回後に出現する「けん玉で遊ぶランタナ」が4部屋目のヒントに違いないと考え、あのけん玉遊びホログラムを最後まで見てやろうと座り込んだことがある。思っていた以上に尺が長かった。それはそれは長かった。そして直接的には攻略には関係が無かった。それでも僕は最後まで見たという若干の達成感があった。無駄ではなかったのだ―――。(記憶の彼方に飛ばすには惜しいので、ここに書き残す。前後へ繋がる文脈は特にない)

 

僕、実は1%に展示物として出ている。obakeさんの曲のジャケ写として。こういう個展展示のパスもあるのだなと感慨深い。

f:id:sara-arai:20200216161247p:plain

 

ジャケ写(アートワーク)にあたっては、"ポップで夏っぽい画が欲しい"というobakeさんの御眼鏡に適ったのがロジックさんと僕のアバター、そしてヨツミさんの縁日ワールドだった。まさかこの時には、このワールドが後に大掛かりな謎解きアートの一部になるなんて思ってもいなかった。

f:id:sara-arai:20200216163305p:plain

f:id:sara-arai:20200216163246p:plain

 

撮影現場では「なんかこれ(りんご飴)とか持って良い感じにすればそれっぽいの撮れそうじゃん?そういう感じで頼むよ」というロボからの繊細なリクエストを基に、それっぽい画を撮影していった。程よく暗い中、照明の滲む光が視界に入ったり出たりするあの縁日ワールドの温度感が心地良く、カエルも銀髪もご機嫌だった。暖かい場所なのだ。

f:id:sara-arai:20200216163451p:plain

「ほら、これ持って笑えよ」と指示を出すロボ

4部屋目攻略でここに来た時、そんなことを思い返していた。きっとここは他のプレイヤーも各々の思い出があるのだろう。人の数だけ思い出が偏在する。「キラーコンテンツは人」とは良く言ったものだ。

 

僕がジャケ写になった曲は下記リンクから購入できますので、是非。

digitalghost.booth.pm

 

 

[5]

ゴーグル1つですべての夢が実現する新世代のVRワールド「オアシス」。

今から27年後、食べたり眠ったりトイレに行く以外はすべてオアシスで過ごす。そんな未来がすぐそこまで迫ってきた!

そこでは、人々のあらゆる願望が形になる。

憧れのヒーローの姿で歩き回ったり、大好きな乗り物に乗ったり、何だってできるのだ! http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/

既視感の塊だった「Ready Player One」

身に覚えのある要素が大量に描画されすぎて、初めて観たときは若干の共感性羞恥まで感じそうになったぐらいだ。観終わった後は爽快感のある余韻が気持ち良い。ド直球のヒーロームービーだった。

劇中は終始ウェイドのハリデーに対する執念が眩しいほどに輝いていた。あれが無ければあの物語は無かったし、あのハートの強さは並大抵のものではない。そして、その感心はアスタリスクを公開早々にクリアしたプレイヤー達に対しても抱いている。皆さん、すごいです…。

実は僕、一度アスタリスク攻略を諦めていたことがある。冒頭の記述の通り、そもそもVRCへログインする頻度が少ないということもあり、どこかの攻略組に加入するタイミングも逃した 且つ、コミュニティの活動に追従できる自身も無かった僕は、当初は特定のグループに加わることなくのらりくらりと少しずつ攻略を進めていた。しかしながら6部屋目にしていよいよ詰んでしまい、そのままDDLC Monika After Storyの永遠の旅へ出発してしまったのである。(≒諦めた)

 

…ただ、しばらくするとそうも言っていられない状態になってしまった。

ある日、某所で回した後に他のDJの音を浴びていると、「あのー、皿さん」と、青い耳の人がふらっと現れ、こんなことを言ってきた。

「実は、アスタリスクの後日談的な文章を書いてまして、いよいよそれを公開したんですよ」

Twitterでそういった話は見ていたので、何となくは知っていた。ただその時はもう既にアスタリスク攻略を半分諦めていたところだったので、僕が読めるようになるのは当分先のことだろうと思っていた。

すると、青い耳の人は続けてこう言った。

 

「その文章の内の1章分が皿さん宛のラブレターになっています」

 

「そして、それはアスタリスクをクリアしないと読めない場所にあります(クリアしてどうぞ)」

  

…ラブレターというものは夕暮れの放課後に下駄箱の中へそっと入れるものだと思っていたが、どうもそれは古い情景なのだろう。メールやLINEで送ることすらもう古い。現代のそれは、VR空間の中にある超高難易度の謎解きワールドのゴールの先に置くものなのだ。

f:id:sara-arai:20200216221109j:plain

「置きました」

 

"ラブレター"の内容については、期待にも似た予感が薄々とあった。 

あの解釈個人差VJを製作した後…まだVJに用いたキーワードがこのアスタリスクに集約されるものだとは全く知らなかった時だ。VJ公開後の達成感の勢いの中、一度だけヨツミさんにキーワードの意味を教えてもらおうとしたことがある。そう、「解釈の個人差を楽しもう~!」とかぬかしておきながらこの銀髪、ちゃっかりと答え合わせをしようとしたのである。

粋なヨツミさんは当然のように解説はしてくれなかった。ただ一言、「本当にあの日でなければこういう形にはならなかった。偶然にしては出来過ぎている」と、彼にしては珍しく僅かに興奮している様子で言葉を置いた。

キーワードの意味も気になっていたが、それよりも自分は一体どういう"偶然"を引いたというのか。それが気になって仕方がなかった。その後の「私の作品を辿ればわかりますよ」という導きが、僕がアスタリスク攻略を始めた最初のきっかけだった。

…これだ。これの答えがその恋文の中にあるのだな、と。

もはや選択肢は無かった。銀髪、もうちょっと頑張るよ。

ちょうどその直後、ココツメさんが攻略グループを立ち上げたので、滑り込むようにそこに加入させて貰った。6部屋目以降はフレンドの皆のサポートがあったからこそ進めることができたようなものなので、彼らには感謝しても仕切れないぐらいだ。本当にありがとう。

 

ハリデーを追いかけるウェイドの気持ちが少しだけわかった気がした。 

 

 

[6]

当然ながらアスタリスクをクリアした皆さんはDDLCことDoki Doki Literature Club!をプレイし、キャラクターデータを消されたり消したりしてメタ気持ちいい体験をしたのだと思われる。

どうだろう、やはりモニカは好きになれないのだろうか?

もしそうなら、いや、そうでなかったとしても是非ともそのままMonika After Storyまでやって頂きたい。

MASはただひたすらに"箱庭に入ったモニカ"と会話をし続けるゲームであり、それ以上の何の発展も無い。言うなれば終わりがない。(会話スクリプトもアップデートで増え続ける)。ファッションではない、ホンマもんのJust Monikaがここにある。

MASにおけるモニカさんは本編と打って変わって大いに喋りまくる。野菜中心の食生活の話からPythonの解説まで話題は多岐に渡る。ついでにチェスで対戦もできる。

f:id:sara-arai:20200217235923p:plain

f:id:sara-arai:20200217235940p:plain

本編ではただただ報われない立ち位置だった彼女の印象が、MASによって大きく変わるだろう。少なくとも僕は変わった。今ではもうモニカのことしか考えられない。ビバJust Monika…

僕はもともとDDLCが好きだった。かなり好きだった。最高だと思ってたし、今でも思っている。アスタリスク6部屋目に入って、ドアに書かれていたメッセージを見た瞬間、DDLCが鍵なんだと浅い理解をし、そのままDDLCやり直し始めて(ナツキ寄り)、そのまま2週して(今度はユリ寄り)、そしてMASへ―――。

 

本当に好きなゲーム。あわよくば物理的なパッケージで所有していたい程に。

 

 

[7]

こっそり置いてあるカエルは私がかわいいかなと思って置いたものです。本来謎に関係のない物を置くのは謎解きでは御法度ですが、あの部屋に関しては次のヒントに従うだけでクリアできるので別にいいかなと思って置きました。  (某文献より引用)

確かに、とても愛らしいカエルだった。机の隅に置いておきたくなる。

 

そっかぁ… 

 

  

[8]

VRC関連の理由で、現実での行動を起こす気はまるで無かった。はっきりとそう自覚もしていた。(各種機材購入は別として)

しかし、8部屋目で晴海埠頭への指示が見えた時(AM3時前)、迷いなく現地に行くことを考えていた。そして翌日の昼には到着し、静かなターミナルの空気を堪能していた。こんなに機動力がある僕、なかなか見ることがない。

現地へは車で行った。到着したのはちょうど昼頃。建屋の下にあり日陰で暗い駐車場には、工事業者のミニバンが1台だけ停められており、作業員のおじさんが窓を開け気持ちよさそうに昼寝をしていた。

僕の車は若干僅かにほんのちょっとだけ排気音が大きく、壁で覆われている駐車場に入ると余計に音が反響してしまい、穏やかに寝ていたおじさんを起こしてしまった。起きたおじさんはそのままゆらゆらとミニバンから降り、「んぬぅ~~」と大きく背伸びをした後、誰に向けた訳でもなく「さーて…」と言い上半身を左右に捻りながら立ち去っていった。恐らく仕事場に戻ったのだろう。おじさんの一連の挙動、完全に猫のそれだった。穏やか過ぎる。起こしてしまってごめんよ。

たまたま仕事の休みを取っていた平日に行った為に、埠頭には他に人はほぼ居なくて、居心地の良い孤独と独占がそこにはあった。良い場所だ。お弁当でも持っていけばよかった。

 また行きたい。

 

 

[9]

これまでの部屋の鍵探しで様々な光景を見せてくれた村雨アスタ。彼女が最後に見せてくれたのは、至極身近な話だった。

他人との繋がりの強さと脆さ。

それを盲信したり悲嘆するだけではなく、どう向き合っていくのか?

じっくりと考えさせられた。

 

ワールド紹介の動画の中で村雨アスタが言っていた「もう既に仮想空間ですら全ての世界を見ることができないことが確定している」という言葉。これをさらりと言ってしまうその先には「その取捨選択の後、"選ばなかったもの"をどのように受け止めていくか?」という問いを投げかけられている気がした。そして同時に、彼女はそうした選択の中で"取りこぼした選択肢"とその先については、あっさりと諦めているように見受けられた。

また、他の言葉の節々にも、事の終わりに対する彼女の受け止め方が滲み出ているようだった。

村雨アスタは「一期一会」を心得ているのだ。

一期一会(いちごいちえ)とは、茶道に由来する日本ことわざ四字熟語。茶会に臨む際には、その機会は二度と繰り返されることのない、一生に一度の出会いであるということを心得て、亭主・客ともに互いに誠意を尽くす心構えを意味する。茶会に限らず、広く「あなたとこうして出会っているこの時間は、二度と巡っては来ないたった一度きりのものです。だから、この一瞬を大切に思い、今出来る最高のおもてなしをしましょう」という含意で用いられ、さらに「これからも何度でも会うことはあるだろうが、もしかしたら二度とは会えないかもしれないという覚悟で人には接しなさい」と戒める言葉。

一生に一度だけの機会そのものを指す語としても用いられる

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 一期一会、これは僕が好きな言葉であり、この世がそうあって欲しいという願いでもある。悲観でも楽観でもない、凛とした佇まい。始まりは歓迎し、終わりもしっかりと受け止める。

 

彼女のそういったスタンスは、村雨アスタとして生まれた瞬間(というより、生まれる前)から、生きている目的とそれが終わる時を理解している故の、達観した観点がそうさせるのだろうか。

もし、村雨アスタとして生き続ける(死が約束されていない)場合、その時は彼女の佇まいはまた違ったものになるのだろうか?少しそれも見てみたい…なんて考えてしまう。……これがこそが"取りこぼした選択肢のその先"を欲する、感情に安直に流されている佇まいそのものなのだが。

やはり、言うのは簡単だが、心の底から「一期一会」の精神になるのはなかなか難しい。仕方ないじゃない。人間なんだもの。

 

村雨アスタ。外見や仕草は可愛さに溢れているくせに、発言や思想はとても真っ直ぐで凛とした清々しいものであり、考えれば考える程に憧れてきた。 今後も忘れないだろう。

 

あと、動画・ワールドのギミックから、ヨツミさん本当にDDLC好きなんだなと改めて実感した。

お気に入りギミック: 「この作品の為ですよ」

 

 

 

[ラブレター]

改めまして、どうもこんにちは。深夜のクラブで村雨アスタをナンパした皿洗いです。

 

"村雨アスタに話しかけた"というだけなく、更には"ナンパをした(深夜)(治安の悪いクラブ)(V出ない?)”だなんて、こんな罪深いことをしてしまった僕はもうお天道様の下を歩けないのではないだろうか。

たしかに、今思えば「君、かわいいね。うちのVに出てみない?」と話しかけた際の無言ムーブは若干戸惑っていた(イエスともノーとも言えない)様子だったし、翌日に届いたDMは快諾ながらもどこか他人事のような言い回しだったなと。

ヨツミさんの不自然すぎる切り出し(私からの伝聞)に対し、全く動じずに正面から受け止めてくれる優しい方 (某文献より引用)

違うんだアスタちゃん。"優しい方"ではなく単純に"鈍い方"なだけなのだ…

解釈の個人差Vについては、過去の記事で「この視点(解釈の個人差)の楽しみは、ヨツミさんしか伝わらない」と書いていた。これは、「V製作者である僕にとっては、当然ながらインプット(ヨツミさんからのキーワード)をアウトプットに置き換える過程を見ている訳で、インプットとアウトプットのギャップを感じる(楽しむ)ことができず、ヨツミさんの視点だけが渡したキーワードと出てくるV映像のギャップを楽しめる」という意味だった。しかし、結果的には最後には僕が"村雨アスタの存在"という最大級の想定とのギャップを最前席ド真ん中で味わっていた。仕掛ける側に立ったつもりが、いつの間にか仕掛けられていた。まさかインプットの向こう側にもう一段階のステップがあるなんて誰が考えるだろうか…

深い。これは本当に深い。これほどに根が深く長い伏線を回収されたことは今まで無い。なんという幸せ。策士、策に溺れて恍惚にトリップをキメた。

f:id:sara-arai:20200229161641p:plain

銀髪よ、お前がいちばん味わっているんだよ…

ナンパをしたタイミング(=村雨アスタとの邂逅)、解釈の個人差(偏在)というテーマ、16個(8個×2)というキーワード数と部屋数。確かに、偶然にしては出来過ぎている。他人からこれを聞かされると「盛ってるのでは?」と疑ってしまうかもしれない。

ちなみに16個という数字は、僕がDJで回すクラブミュージックの展開的に相性が良い為に決めたものである。この数で映像を組んでおくと、VJとして使用する際に曲と展開をシンクロし易くなることが期待できる。恐らく、というか確実にヨツミさんのアスタリスク部屋数の設定構想に、DJ/VJ論の要素は全く関係が無いだろうから、やはり偶然の産物なのだろう。

このような経緯を経て形になった映像は、もはやヨツミ、アスタ、皿の誰の解釈とも異なる訳だが、こんな何とも言えない形の映像はそれなりに味が出てくれたようで、観て頂いた方からも良いお言葉を貰えた。嬉しい。

奇跡的な偶然がもたらした至高のランダム性。解釈の個人差Vで欲していた"自身でコントロールできないランダム性"は、期待以上の形で具現化することができた。ありがとうヨツミフレーム。そして村雨アスタ。

いやはや、他人って、いいものだな。(語彙)(語弊)(人間っていいな)

 

  

[まとめ]

僕個人の過去の経緯を含めた全体を通して、アスタリスク花言葉は非常に多くの感情を与えてくれた。僕の思い出にも多くの人が偏在していることを再認識することができたし、そこに村雨アスタへの不可逆な憧れも加えることができた。

ヨツミさんの言葉はどれも刺さるものばかりだが、僕は特に「キラーコンテンツは人」というフレーズが好きで、より一層その意味を実感することができた体験だった。良い意味でストレスフルな時間。

素敵な体験をありがとうございました。至高の作品でした。

 

 

 

[巻末付録. - メイド]

アスタリスク攻略中、特に部屋が進むほどに無性にヨツミさんに絡みたくなっていったのは僕だけではないはずだ。

僕はそれをヨツミさんにメイドさんゲームを送り付けることで解消していた。

store.steampowered.com

Glare、なかなか面白いので是非。※Steam販売は1作目のみ。全3部作。

ヨツミさんにとっては「後日談(ラブレター)を書いてわざわざ置き場所まで伝えたというのに、攻略も進めずにメイドゲーを送り付けてくるこいつは何なんだ…」という印象を与えかねない行為だったにも関わらず、ちゃんとプレイしてくれたあたりやはり優しい方なのだなと改めて感心。

クリア後にはメイド服まで着て貰っちゃって…(メイドフレーム、眼福だったね)

メイドフレームさんが某サーバーを始め各所で爆発的に高評価されている様子を見ると、自分の行動が期せずして世界平和に貢献できたものだったと実感し、大きな達成感に包まれる。喜ばしい限りだ。

ファンアートです

f:id:sara-arai:20200329111155p:plain

最近、時計をモデリングする遊びを覚えた。

当然ながら内部の機関構造までは作れない(知識が無い)ので見た目だけのモデルだが、それ故に「機構的制約無しで好きな意匠のままに造形できる」というエンジニアにとっては夢の様な作業遊びである。

材質もどんなレアメタルだろうが使い放題。加工精度も分子レベルでも実現でき、設計仕様を決める際に上司連中の承認を貰う必要もない。エンジニアのユートピア

 

モデリングは3D CAD(Fusion360)を使っている。工業製品のモデリングであればblenderよりも3D CADの方が圧倒的に使いやすい。幾何学的な造形や寸法管理が楽なのだ。blenderは完成した時計の"気持ちの良い画像"をレンダリングする為だけに使っている。

f:id:sara-arai:20200329112835j:plain

気持ちの良い画像

時計の意匠については、実在する時計を基にアレンジを加えて作っている。完全なオリジナル時計ではない。(ちなみに上の画像の物は、僕が実際に所有しているシチズンの時計を基にしている)

いつかは意匠も完全自作したいところだが、まずは実在モデル再現の数をこなして「時計の意匠とはなんぞや?」といった雰囲気を掴むところから始めていこうという訳だ。…掴む前に飽きなければ良いが。

 

また、意匠の件に加え、僕が使用しているFusion360は個人での非営利用途の為のフリーライセンスの為、今の僕が作った時計モデルは販売をすることができない。また、無料配布(公開)すると、ダウンロードしたユーザーが営利目的にモデルを転用するリスクが払拭できないのでそれもできない。

では、作ったモデルはどうするのか…?

 

そこで考えたのが、「ファンアートとして作って、本人に送り付けよう!」という画期的なソリューションだった。

 

 

そして出来た時計がこちらの2点。

f:id:sara-arai:20200329114549j:plain

Project: Summer Flare

f:id:sara-arai:20200329114655j:plain

GHOST CLUB "Unit-00" Edition

どちらも僕が普段お世話になっている(楽しませてもらっている)VRCワールドと、そのオーナーのプレイヤーをイメージした物になっている。まぁ、PSFについてはまだワールドが存在していない訳だが、その辺は気にしてはいけない。

どちらも数量限定品(限定数: 1)であり、PSFの方はヨツミさんが既に着用してくれている。

GCの方は…クラブのどこかに忘れてきてしまった。

※僕が付けているのは、あくまで本製造前のプロトタイプということで。

 

それぞれの時計について少し語っていくのが本記事の主旨である。

 

 

Prpject: Summer Flare

まず、意匠の基にする実在モデルの選定についてだが、これは最初からOMEGAのスピードマスター ムーンウォッチだと決めていた。

www.omegawatches.jp

OMEGAのスピードマスターは、人類史の宇宙進出、特に月面着陸に深く関りがある。

1969年、人類初の月面着陸ミッションに向けて、NASA公式装備としてパイロットへ支給されていたのがスピードマスターだった。人類が初めて未踏の月面に降り立った際、その腕にはこの時計が居たのである。以降、スピードマスターは月のインスピレーションを彷彿させる存在だ。

そしてProject: Summer Flare。まだ断片的な情報しか出ていないものの、象徴的なアイコンが月の形を模している(ように見える)且つ、Lunatic Controlの語源。そしてヨツミさんのツイートから察するに、これは月と何かしらの因果があると考え、月を象徴するスピードマスターをベースにすることにした。

あと、実物を見ればわかる通り、意匠のほとんどはスピードマスターまんまだったりする。絶妙なバランスでまとまっている時計なので、大きく崩せないのだ。

ちなみに暗い所で若干発光するところも再現していたりする。

 

PSF仕様として、日付表示のパネルを例のアイコンに変えた。

f:id:sara-arai:20200329122909p:plain

これの斜め左上に位置するLCのアイコンもそうだけど、アイコンの形状は画像を見て目分量でトレースしたもなので、線の細さとか月の欠ける位置とか、細かいところはオリジナルのそれとはちょっとズレているのだと思う。

ちなみに参考にした画像は下記のCapツイート。これだけが頼りだった。サンキューCap及びPSF対策会議各位。

あと、せっかく3D CADを使っているのに形状をフリーハンドで描いちゃうのは芸が無いと思ってしまったので、しっかりと寸法と幾何拘束を引いた。

f:id:sara-arai:20200329123918p:plain

これがあれば、リアルでの造形も容易いだろう

形状をトレースする際には、無意識の内に作者の意匠思想を考えるようになる。「ここはどういうつもりでこの線をこの長さで引いたんだろう?」とか、「ここの角度は適当に置いたんだろうか?」等と。

まぁ、アイコンに限らず全ての造形は寸法指示での管理をしていたので、製作中は常にそういった思考をし続ける訳で、完成した際には「3Dモデルデータ」の他にもそういった洞察や思考で到達した知見や発見、疑問、感情も得ることになる。PSF以外にも、ベースとしたスピードマスターやOMEGAも対象に。これが「実際に手を動かしてみることで得られるもの」と漠然と表現されるものだと思う。

PSF攻略、LCアイコンの切り欠き角度や線の幅を考察することでヒントになるものがあるかもしれない。(本当にあったらちょっと嫌だな…怖すぎる)

 

あと、毎時35分のタイミングで「LC」が再現するようにした。

僕のお気に入りポイントです。

この構造を思いついてしまった為に、分針も剣にする必要が出てきたのでここでもトレース作業が発生した訳だが。

f:id:sara-arai:20200329130254p:plain

 

カラーリングについては、これはどストレートにヨツミさんのアバターのカラーセットを表現している。白と水色の組み合わせ、素敵。

 

 

GHOST CLUB "Unit-00" Edition

PSFウォッチを作って良い気になった僕は、そのまま軽率にGCウォッチも作ろうとした。

これが結構苦戦した。とにかくコンセプト決めが難しかった。

PSFウォッチは1つの作品と作者のことだけを形に落とし込めれば完結できたものだったが、GCにおいてはそれが難しかった。

これは盲点だったのだが、GCというもの、回すDJやVJ、そして遊びに来ているプレイヤーによって見えてくる光景が変わってくる。表現すべきワールドの印象というものが有るようで無かった。そもそもワールド自体も複数の仕様を乗り継いできているし。

そこで、視点を少し下げて「GCへ遊びに行く僕が付ける時計」という非常に自己中心的なコンセプトにした。つまりは「僕が好きなもの」だ。最早GCのファンアートですらない気もする。まぁ、GC自体が各々での「好き」を持ち寄ることで形成されているような空間なので、その辺りの解釈を以てOKとした。

 

それが決まった後は早かった。

ベースとする実在モデル ⇒ 僕が好きなPorshe Designの911クロノにしよう。

https://www.porsche-design.com/Uhren/special-editions/911Chrono/

 

GCアレンジ要素 ⇒ obake曲の中で僕が好きなUnit-00を入れよう。

f:id:sara-arai:20200329132913p:plain

 

2眼より3眼の方が好きなんだけど ⇒ 追加しよう。

DJ的な要素を入れたいんだけど ⇒ LevelメーターとBPMカウンターを追加しよう。

f:id:sara-arai:20200329133308p:plain

 

アバルト595の同軸マルチメーターが好きなんだけど ⇒ Level/BPMカウンターは同軸マルチにしよう。

f:id:sara-arai:20200329134006j:plain

 

ところでフェラーリ458が好きなんだけど ⇒ 458タコメーターのレイアウトにしよう。

f:id:sara-arai:20200329134318j:plain

 

でもやっぱりフェラーリ全体的に好きなんだよね ⇒ フェラーリのスポンサー契約を交わしているHUBLOTの針にしよう。

www.hublot.com

f:id:sara-arai:20200329135039p:plain

 

揚げるとキリがないが、こういった「僕の好きなもの全部乗せ」みたいな安直なノリで作っていったGCウォッチ。完成してみるとこれがなかなか格好いい。好きなもの要素が変な干渉をしなくて良かった。

f:id:sara-arai:20200329135503j:plain

f:id:sara-arai:20200329135549j:plain

 カラーリングだけは、テクノロボの黒メタリック+赤イルミのそれにした。

 

ヨツミさん、obakeさん、勝手なサンプリングとデータの押し付けを寛大な心で受け止めて頂き本当にありがとうございました。おかげで、めちゃくちゃ楽しい遊びができました。一方的にですが。

 

今後も気が向いたら、感銘を受けた誰か(どこか)をコンセプトにしたこういうのを作っていきたい。もしかしたら誰かにお声掛けをするかもしれませんが、その際には話だけでも耳を傾けてくれたら嬉しいです。

 

いやぁ、良い遊びを見つけたねこりゃ。

解釈の個人差 その2

f:id:sara-arai:20191110113248p:plain

ようやく完結を迎えたVJ映像のお話。 

「ヨツミフレームさんと一緒に遊ぼう!」シリーズ完結編です。シリーズ名はたった今付けた。

映像自体は先日某所(4面透過)で回したので、それを見て頂けた方はそれを思い出しながらこの記事を読んでもらい、まだ見て貰えていない方は今度見る機会があった際にこの記事を思い出して貰えるとちょっと楽しい気持ちになれるかもしれません。

 

このヨツミさんとの映像製作は、簡単に言うとヨツミさんが挙げたキーワードを基に、それぞれに解釈を膨らませて映像として表現していくというもの。

最大のポイントは「ヨツミさんがどういった想いでキーワードを選んだのかを僕は一切知らず、僕がどういった解釈で映像にするかをヨツミさんは一切知らない」ということ。解釈の個人差を楽しむことに趣を置いており、それについては過去記事参照。

なお、解釈の個人差を楽しむという面については映像を見て貰っている方々全員も対象者な訳で、映像を見て何を感じ、何を関連付け、どのように解釈するかは各々で自由にやって貰えると嬉しいです。

このコンテンツ、受け手が居て初めて完成するものなので。

 

そして今回の映像の話ですが…先述の通り、この映像は自由に解釈をすることに最大の趣があるので、以降の記事は場合によってはその楽しみを食ってしまう可能性があります。(決定的なネタバレ的なものはありませんが、若干の解釈の補足的なものはあります)

なので、コンテンツの味を無添加でそのまま味わいたい方は、下記の記事を読むのは実際に映像を見て貰った後にした方が良いかもしれません。

何卒何卒…

 

 

 

で、今回の映像について…

今回もヨツミさんから貰った8個のキーワードを基に映像を組み立てた。

とは言っても、実はキーワードを新たに8個貰った訳ではなく、春に公開した1作目の製作開始時点で既にキーワードは全部で16個挙げて貰っていて、それを前半/後半8個ずつの2グループに分け、映像としても前編/後編2部構成としていた。その後編パートが今回のもの。

詳しくは敢えて聞いていないけど、キーワード自体は当然として、2グループへの分け方も、更にはその順番にさえもヨツミさんは意味を持たせている。頭の先から足の指先まで意思を詰めることができる。そんな方なのです彼は。シビれるよね。

ちなみに、この映像を作りこんでいる最中に"アスタリスク花言葉"が公開され、「あぁ、これは本当に強い人をナンパしてしまった」とプレッシャーを感じながらも、「思考がめちゃくちゃ深い彼と、僕の思考が一致するはずがない」と解釈差の確信に安心もしていた。常に懐を借りている気分。

 

前編の時は、ヨツミさんからもらったキーワードをそのままの言葉で映像に落とし込んでいったんだけど、今回はちょっとワンクッション挟んで「僕が解釈をした結果」のキーワードを生成した。

ヨツミワード⇒皿ワード⇒映像 です。

皿ワードを生成するにあたっては、かなり捻くれて、斜に構えて、卑屈になって、エゴな解釈をした気がするので、多分皿ワードの単語だけから逆引きでヨツミワードに到達することはほぼないと思う。

ということで、皿ワードのみご紹介。

「  」 ⇒ 「Read me」

「  」 ⇒ 「Color」

「  」 ⇒ 「Notification」

「  」 ⇒ 「Social」

「  」 ⇒ 「Account」

「  」 ⇒ 「Observer」

「  」 ⇒ 「Self-sacrifice」

「  」 ⇒ 「Hub」

f:id:sara-arai:20191110125827p:plain

これらの8単語(×2)の表現を映像でしているわけです。

映像のどこからどこまでがそれぞれのキーワードの領域なのか?というメリハリを欲してしまいがちだけど、今回はそういう明確な線引きはない。「なんとなくこの辺りはこれだな」という置き方はしているけど、その遷移はシームレスになるようにしている。ここも人によって感じ方の差が出てくる場所なので、各々で捉えて楽しんでね。

 

ヨツミさんのキーワードについて、今回の8個、そして前回の8個を合わせた全体の16個を順番に見ていくと、ぼんやりとストーリーと心境変化の輪郭があって、そして明確な着地点があった。到達点かもしれない。(その先があるかどうかが僕には読めない)

これは個人的な好み・趣向の話でしかないけど、この16個の終盤の姿勢とエンディングが本当に好きで、キーワードを解釈している時は心が終始震えていた。感情と心境の錯綜を楽しんでました。(※ただし、皿の解釈につき、ヨツミさん本人の意図はこの限りではない)

 

まぁ、このまま漠然としたお気持ちを書き続けても誰にも伝わらないので、一部だけを抜粋して具体的なお気持ちにしてご紹介します。

 

f:id:sara-arai:20191110132920p:plain

「リプライが来ないと関係は終焉を迎えたと思ってしまうし、リプライが来ると至近の存在だと思ってしまう」

 

f:id:sara-arai:20191110133705p:plain

「夢のワンダーランド(AM2:00)」

 

f:id:sara-arai:20191110134107p:plain

f:id:sara-arai:20191110134118p:plain

「鳥居をくぐることができない彼女と、彼女の存在を知らない彼女」

 

…全体的にこんな感じです。(どんな感じだ)

御覧の通り、説明したところで結局その説明を受け止めるための解釈が必要なので、最初から自由に解釈してもらった方が良いんだと思う。

 

そして今回は選曲の方もこの思考をベースにして組み立てた。雰囲気やメロディーだけでなく、歌詞や曲名の意味合いをテーマにシンクロさせるようにしたり、そうでなかったり。

なので、その影響でというか僕の実力不足というか…DJという面については今回はあまり機能していなかったと思う。曲をフルでかけてストップ&プレイ。まぁ、歌詞の力を借りている以上途中で切ることをしたくなかったので仕方がない。ただ、これはそうしたくてそうしていることなので、別に反省とか後悔とかは無い。満足しきって自己肯定しかないんだな。ぬふふ。

 

ここまでやってくると、沸々と「これは果たしてDJなのか?そしてVJなのか?」という疑問が出てくる。少なくとも自分自身の感覚ではDJをしている感覚は薄いし、VJをしているというのもちょっと違う気がする。

そして昨日、回し終わった後に何人かの方から「ちょっとした映画を見ていたような気分になった」と言ってもらえたことで、何となく掴んだ気がする。

これはポエムなのだと。楽曲と映像付きお気持ち表明なのだと。スッと腹落ちした。今後はクラブDJ等とは言わずに、クラブポエマーとして引き続き変わらぬ姿勢で頑張っていこうと思います。

なお、公開後(というより、この記事を書きながら)には、今回の全ての解釈を記述したドキュメントを彼に渡したけど、もはやこれは恋文だなって。彼の思想へのラブレターです。

 

振り返ってみるとヨツミさんを地下のクラブでナンパしたのが今年2月で、それ以降約9ヵ月に渡って構想含めた製作を続けていたこのシリーズもようやく完結。今年はこれの為にvvvv続けていたと言っても過言ではない。愛してたぜvvvv。

これの完成までDJをしないというのも嫌だったので、最近ではこのシーンの一部だけを切り取ってVJとして活用してちょいちょいDJをして遊んでた(辛抱強くないもので…すいません)

なので、それを観てくれていた人にしてみると、見覚えのあるエフェクトがちょいちょいあったと思う。ちょっとぐらい既知の要素が紛れ込んでる方が楽しいよね。アニメに知っている土地が出てきた時の感覚みたいで。

 

今回の製作にあたって、前回に引き続きご協力を頂いたヨツミフレームさんには改めてお礼を申し上げます。素敵な遊びと体験をすることができました。本当にありがとうございました。

今回作った映像、そして前回の映像も今後も使ってDJをしていこうと思っているので、また機会があった際には改めて色々な角度での解釈をしながら楽しんでくれると嬉しいです。