お皿洗い

田舎の町でエンジニア。趣味のお話をふわっと書きます。

助手席

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僕は車を運転することが好きなんだけど、それと同じぐらいに他人が運転する車でくつろぐことが好きだ。むしろそっちの方が好き。

ゆったりとシートに身体を預け、好きな音楽を聴きながら流れる風景を呆然と眺める。運転手に気を使っているような雰囲気を出すために、たまに「ガム食べる?」とか聞いちゃったりして。

基本的には目的地に向けて移動をする手段なんだけど、そこに幸せを覚えてしまうのです。

これこそ、人を幸せにする車の使い方。サーキットで速いだの燃費が良いだの、そんなことはどうでもいい。

 

ということで、 "助手席での過ごし方"にフォーカスをした、これまで実際に乗って体験してきたお話を徒然と。決して良し悪しを批評するものではなく、完全に僕自身の感覚と好みの話なので、その辺はどうか何卒何卒…

 

メルセデス・ベンツ Cクラス

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最初に結論から書くと、一番好きな助手席空間はCクラス。

いきなりベンツかよって思うかもしれないけど、Cクラスは比較的現実的な価格帯やサイズで、日本でもかなり多く走ってる大衆車。

この車はまずシートが秀逸で、座った際の姿勢と高さがとても良い。どっしりと深く腰を置くことができ、膝や足首の角度も疲れない絶妙な角度に落ち着く。座るとちょうど鎖骨あたりに来る窓の高さで、体が車体に包まれている安心感もあってよろし。というかシートに多くの可動部があり調整ができるので、まぁどうにでもなれる。あと、皮シートの硬さが程よく張りがある硬さで気怠さが無くて立派。

車の快適性は体の姿勢で大きく決まる。姿勢がキマっていれば、他に何があっても(何もなくても)大体は快適に過ごせてしまう。その点、Cクラスはとても強くて、ちょっと良いパーソナルチェア並みにくつろいでしまう。

脚周りも程よく引き締まって好き。これは人によって好みがわかれるところで、路面からのショックをとにかく吸収するふわっふわの脚が好きな人にとっては彼は合わないだろう。昔のクラウンみたいな。

こいつのダンパーは、路面からのショックの入力は程よく伝え、それをサスペンション1ストロークでしっかりと収束させ落ち着かせるという、いかにもドイツ車って感じの味。車体の姿勢がシャキッと決まったまま走るので安心感が違う。たとえドライバーが運転が下手でも車がしっかりしてるので多少は大丈夫。そう、メルセデスなら君の大丈夫になれるんだよ。

あと、ボディ構造(特にエンジンルーム内)や遮音材への投資が半端ないので、走行中の各種ノイズはかなり小さく、純正搭載のBurmesterオーディオが結構いい仕事をするので、音楽も素敵に楽しめる。低音、しっとり出てます。

ただ、どうしても一つだけ気に入らないところがドアロックのノブ位置。これがドア内装の窓枠側についている。

車に乗る時の姿勢とは、「どっしり深く座って、リクライニングを倒し気味にしてふんぞり返り、両足を前に投げ出し、肘をドアの窓枠に乗せ、その握りこぶしに頬を押し付けクッソつまらなそうな表情で風景を眺める」というものじゃないですか?その際の肘の位置にドアロックのノブがあって、肘が当たり痛いんです。これがいただけない。

まぁ、そういう座り方をしないのであればパーフェクトな一台。ぜひ、旦那さんや彼氏が車購入に悩んでいたら、メルセデスを推しましょうね。あなたが幸せになれます。

 

 BMW 5シリーズ

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車体はデカいくせに意外とそこまで中が広くない(感じがする)。

車体の重さをそのまま感じさせる脚の動きで、よほど運転が上手いドライバーじゃないとなんというか不安になってくる…が、シートが優しすぎて不安を抱えたままスッと寝てしまう。快眠できるわけでもない。ただただ寝てしまう。なんなんだこいつは…

あまり会話をしたくない人と移動する時には良いかもしれない。

この車の経験のせいで、乗ったこともないアウディのA7あたりのヘビー級セダンを「どうせそういう感じでしょ?寝ちゃうぞ?」という偏見を持ってしまっている。

すぐに寝てしまうので、オーディオがどうこうと考えたことがない。もはや寝室。

 

マツダ RX-8

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足元の空間の広さにビビる。見た目の割にめちゃくちゃ広い。脚をまっすぐ伸ばしきれる。例の「正しい着座姿勢」がビシッと決まる。

高速道路を100km~200km程度の中距離移動をする分にはちょうどいい。見た目の割にそこまでハードではない脚と必要十分なパワーのロータリーエンジン。程よいエキゾースト音。とにかく全体的に「見た目の割に優しい」良いスポーツカー。高速巡行が心地良い。

イルミ系が全てアンバー色で統一されているので、夜になると車内が小綺麗でごきげんになる。いちいちカッコいいんだよなぁ…一切カスタムをせず、どノーマルのまま愛していきたい。

ただ、基本はスポーツカーなのでノイズ類は雑味のまま飛び込んでくるので、オーディオしっかり聞きたいならデッドニングなり、ひと手間かけたいところ。

あとトランスミッションの放熱が激しいので、冬場はヒーター要らずで足元から暖かく快適。夏場は覚悟を決めましょう。

 

スバル フォレスター

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助手席は普通。センターコンソールにあるX-MODEダイヤルをがっちゃがっちゃと勝手に操作してドライバーから怒られることがあるぐらい。

この車に関しては、助手席よりも後部座席の快適性が素晴らしいので積極的に後ろに座っていきたい。

助手席はドライバーと1:1みたいな空間になるので、お互いにお互いの存在を少なからず認識してしまう。リアシートはそうではない。ドライバーの監視から脱出した自由空間なのだ。誰の視線も意識する必要がない。前席での話題に相槌を打つ必要もなければ、笑顔を振りまく必要もない。そこは完全にプライベートでパーソナルな空間…そうね、感覚的にはトイレの個室が近いかもしれない。

流れる風景、素敵な音楽、交わらなくていい雑談、足元にエアコンと電源、ひじ掛けだって出てくる。そんなトイレ。これは住める。

助手席としてはメルセデスが最強だと信じてますが、リアシートではフォレスターが好きです。

あと、スバルSUV全般に感じることだけど、スバル車は基本的にフロントヘビーで後ろが跳ねるので、リアシートに人や荷物を載せると車全体の動きがしっとり落ち着く。良いことしかない。友人がSUVを買おうとしているのであれば、こいつを推して真っ先にリアシートに座りましょう。そこに幸せがある。

 

ポルシェ マカン

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重たいドアを開けて早々に「サイドシル太いなぁ…」と思った。しっかりと足を上げて、広げて、跨いで乗り込む。そして狭い車内空間。…こいつ、この太いタイヤを収める為だけにボディ膨らませてるんだなと。

ホールド性の強いシートに座ると、自然とスポーティーなやる気に満ちた姿勢になる。本人の意思に関係なくそうなる。”お前はポルシェに乗っているんだ”と嫌でも痛感させられる。そんなシートの作り。多分、911の作りをそのまま持ってきてるんじゃないかな…

センターコンソールは最近のポルシェっぽく太く高い構造なので、ドライバー席との部屋分けとしてしっかりと機能してて素敵。カップルでいちゃつきたいのであれば不向きでしょうね。コンソール上で手を乳繰り合うと、大量にあるポルシェのアシスト機能のスイッチに触れて作動してしまうでしょう。車高とか上下しちゃう。

走りだすと、運転していなくてもわかるタイヤの太さと脚の硬さ。がっつがつと突き上げられ、ゆっさゆさと轍に振られる。”いいか、お前はポルシェに乗っているんだ”と声が聞こえる。

良くも悪くもゲインが高いので、ドライバーの運転の優しさが求められる。雑な人が運転するとかなり悲惨なことになる。サンバーの方がまだ良い。

「そっか、俺は今ポルシェに乗せられているんだ…」と考えることで精いっぱい。

嗚呼、ポルシェ…ポルシェ…ポルシェ…

 

ロータス エリーゼ

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ドアを開けた際、良い感じとのころでドアを保持してくれる機構「ドアストッパー」が無いので、手を離すとどこまでも開いていく。隣に駐車している車いる際には開閉に気を付けようね。(危なかった)

鉄板むき出しの内装、タイヤが巻き上げた砂がボディにビチビチとあたり、エンジンやらトランスミッションからメカニカルなノイズが延々と鳴り続ける。

オーディオの音質云々の前、まずその個体にオーディオがついているかどうかの問題。下手したらエアコンすらない。ドアノブなんて紐だぞ。

ただ、「車が走る」という要素をすべて無修正で受け止めることになるので、そういった意味での愉しさであればこいつに勝てるものはない。地面を這いつくばるようにキビキビと走る様は、他の車では得られない体験。この経験をすると、他の車で中途半端に走りを愉しもうという気が失せるので、車選びがとても割り切ったものになる。いつまでもスポーツカーばかり欲しがる大きな男の子各位は一度エリーゼに乗って良い意味での”諦め”を知った方が良いかもしれない。

あと、ポルシェもそうだったけど、こいつは更に酷いぐらいにサイドシルが太い。そして高さがある。もはやバスタブである。

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乗り込むには、スマホが置けるこの幅を跨ぐ必要がある

これ、短いスカートを履いた女性だと乗り降りが出来なくなってしまうので、もうなんかいろいろと駄目である。身近でも何人かエリーゼに乗っている人がいるが、ほぼ全員が奥様や彼女から強烈な批判をされながら歯を食いしばって生きている。

 

もし身近な人が車選びに悩んでいるとき、そっと助手席視点での選び方も囁いてあげると、その後の生活に潤いが得られます。

ただ、安直に「私、メルセデスがいいなぁ」ばかり言っているとちょっとアレな人に思われてしまうかもしれないので、遠回しにメルセデスに着地するように誘導してあげましょうね。

 

良い車、良い空間、良い音楽、良い風景…

求めていきましょう。

18ヵ月

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お仕事の話。

 

僕の仕事は、いくつものシステムの集合体によって形成されるとある機械を作ること。各システムはそれぞれ専門のエンジニアが担当しており、このエンジニアらのチームによって開発を推進する。僕もそのエンジニアの1人。

システムは、基本的に何かしらの形で他のシステムと連携・結合されている。メカニカルな関係だったり、制御演算での関係だったり、意匠としての関係だったりとその形態は様々。なので、基本的に開発現場にはチームワークが求められる。自分の担当範囲を不備なく作るのは当然として、他システムへの配慮やサポート、場合によっては開発代行をするぐらいの協力体制を築かなければならない。なぜなら、僕の勤める会社はとても規模の小さいところだから。

システムの数に対しアサインできる人員が少なすぎるのだ。1システム/1人 どころか、5システム/1人ぐらいの比率になってしまう。

ちなみに、僕が前働いていた同業の職場では、1システム/2~3人 でやっていた。まぁ、その分求められる開発スピードは早く、フットワークは重かったので、必ずしも人員が多ければ多いほど良いという訳でもない。

ちなみに、何かの雑誌で書いてあったことだけど、フェラーリ458の開発体制は全体で20~30人だったらしい。惚れ惚れするほどに少数精鋭至上主義。ところでプリウスには一体何千人が動員されたのだろうか…。

 

有事が起きたのは数日前。

開発中の個体がテストにて"超"想定外の挙動を示した。もうびっくりするぐらいに想定外。原因は不明。開発のタイムリミットは間近、対応方針未定…まぁ、通常通りの「非常事態」に陥った。

とは言え、期待していた結果は明確に描けているのでやるべきことはただ一つ。ひたすらにトラブルシューティングをやるのみである。

そもそも、新しいモノをつくる開発をしているのだからテストで想定外の事が起きるのは当たり前なわけで、というかむしろその為にテストをしているのだから、テストでイレギュラーを引き当てるのはめちゃくちゃ健全で正しい姿だと思う。

全世界のDJ達の父と言えるトーマス・エジソンが蓄音機を発明してから150年以上が経った今でも開発の基本はトライ&エラーなのだ。開発行為においてはもちろん組み立てのフェーズも重要だけど、それ以上に検証フェーズが重要であり、それがメインだと常々思う。(少なくとも、僕の仕事においては)

作り出したモノが「問題がない」ということを可能な限り証明し続けるという、ゴールのないマラソンをしているのだ。

 

そして開発トラブルというのは一期一会なもので、経験をしたことがない事象が起きるのがほとんどなんだけど、トラシューの手法というのはある程度ルーチン化されてたりする。FTAで事象から追いかける、FMEAを逆引きして構造から追いかける、ハードウェアの形状やソフトウェアのコードを片っ端から精査していく、有識者に泣きつく…etc。どのフレームワークやアプローチが一番良いか?について議論されがちだけど、もうこれは個人の好みなんだと思っている。好きなように歩んでいけばいい。

 

ただ、どんなスタイルであれルーチン化されたトラシュー手法というのは変な話…というか、歪な取り組み方だとなんとなく肌で感じる。

今まで経験したことない未知のトラブルに対し、今までの経験だけで効果を証明してきた手法で挑むという構図、実はどこにも具体的な勝機が無い。

なので、例えどんなに多くの手法を知っていたとしても、未知との遭遇は不安と恐怖でしかないと思う。ここで強気に出られる人達、一体何を食べればそんなにも強くなれるのですか…?

まぁ、とにかく、月曜日に出会ったトラブルについて、僕らエンジニア達は各自の担当システムの検証を早急にと進めることが優先ミッションとなった。

ただ、ある程度知識と経験を持ち合わせていると見えてくる「アタリ付け」が今回はあった。エンジニア間では「なんとなくあのシステムあたりが怪しい」という感覚は共有出来ていた。その対象となったシステムの担当者はその原因抽出を、他の担当者は自システムの潔白の証明をなんとなく狙って検証を進めることになる。

あとはエンジニア達が各々で検証を進め、結果が揃い次第結果の突き合わせをして、仮説の形成と実物との比較を行い、最終的な結論(=実態の把握)まで到達してめでたしめでたし…という流れになる。チームの中で、自分がやるべきことを着実に遂行するだけ。簡単なことです。怖くない。

 

こうして、エンジニア達がソロでの作業に着手しようとしていた翌日。

プロジェクトの企画屋が僕らに召集をかけた。

召集の連絡が来た時点で嫌な予感がしたので拒否しようと試みたが「緊急事態だろう。皆で協力しないでどうする?」的なお言葉を頂戴してしまった。同時に、予感が確信に変わった。

 

会議には、

・僕(皿)

シルベスター・スタローン似のエンジニア(以下、ランボー

・テストのオペレーター(以下、オペ子)

・企画屋(企画屋)

の、全4人が出席。場所はランボーの部署の会議室。

前日時点で既に企画屋以外、いわゆる”現場サイド”の僕、ランボー、オペ子3人では情報や方針の共有は済ませていたので、僕らはこの打ち合わせで何かを得られるとは思っていなかった。(もちろん、企画屋含めての情報発信も月曜時点で行っていた)

案の定、実際に会議が始ってみると予想通り企画屋が「何が起きている?」「原因はいつわかる?」「もっと早く進めろ」「なんでこうなった?」といった、一方的な我儘だけが繰り出され続ける流れに。

まぁ、これ、企画屋の圧をかけてくるのも仕方がないことなのはわかる。彼もこの事態を上層に報告しなくてはならないという立場にあり、そこでは、いかに躓くことなくスムーズに開発が進捗しているか?を問われているので。 

開発中に出たエラーの数について、「数が少ないほど順調な開発」と捉える層と、「数が多いほど潰し込みが出来ている」と捉える層に分かれる。おそらく深層心理で自分にとって都合の良い解釈をするのだろう。高い視点でのマネージメントをする人ほど前者に寄っていくような気もする…。すいません。偏見です。

 

結局はこの会議、発信された速報を聞いて興奮して焦ってしまった企画屋(マネージャー)が、事態を冷静に飲み込む為にわざわざ人を集めて既知の情報を直接口頭で説明してもらいたい、という空虚な個人的欲求を満たす為のものでしかないのだ。問題の解決に向けて具体的に手を動かそうとしている人らを束縛して。

最近の子供ですらスマホなりゲーム機なりを与えれば一人で遊んでいられるというのに、こいつらホント…マジで… 

…という理解を腹に抱えながら、企画屋との会話をし続けていた。

一通り全体の流れを説明し終えると、企画屋が「だったらさ、こうしてみたら?」と次元の違う素人アイデアをポロポロと投げ出し始めるフェーズに突入する。

このフェーズが一番しんどい。もう既に具体的にやることが見えていてて、それを着手しようとしているというのに、それの手を止められ挙句の果てには頓珍漢なアイデアを一個一個丁寧に非成立・無意味の説明をして差し上げなければならない…。お客様、そういうことを言う時には一言目に「FF外から失礼します」をつけてくれ。ミュートするから。

 

虚無なやり取りを延々と続け、何故か脳裏に"良い感じにチルってきたねぇ~"という単語が思い浮かび始めた頃。

それまでずっと黙っていたランボーが、スッと席を立って会議室を出ていった。

企画屋「トイレか?」

オペ子「んー多分、そうでしょうね」

それでも企画屋とのお話は止まらない。

 

しばらくするとランボーが無言で帰ってきた。

彼が出て行った際、内心では「もしかしてこの会議にキレて帰ってしまったか…?」と心配していたので、何事もなく帰ってきてちょっと安心した。

帰ってきたランボーの手には、金色の缶のようなものがあった。どうやらこれを取りに行っていたらしい。

皿「それ、何ですか?」

ふっふっふ…わざとらしい声を発しながらとゴンっと音を立てて金色の缶を机に置いたランボー

 

ランボー「これ、3年前にタイで買ったレッドブル

皿「そっすか…(あ、この人やっぱキレてる…)」

 

初めて見たタイのレッドブル。いつもの青の缶ではなくて、金色の缶なんだね。背丈も小さめ。

どうやら3年前に出張で行ったときに買ったものを大事に取っておいたらしい。とっておきのワイン的な感じなのだろう。

というか、それ、開けるタイミングが今なんですか…?大きな仕事をやり遂げた後や休み時間とかでもなく、この会議の最中の今この瞬間なんですか…?

さすがにこれには企画屋も話を止めて、こいつは一体何をやってるんだという不機嫌な視線をランボーの手元にぶつける。

そのまま缶を開けようとするランボー。ところでレッドブルって3年も保存できるのか…?まぁいい。

メリメリっと開封されていく3年前のタイ産レッドブル。そう、缶が普通のジュース缶ではなくて、フルーツ缶みたいなフタをめくりあげるタイプのものだった。一気に怪しい感じになってきた…

そしてその様子をまじまじと凝視していると気が付いてしまったある事実…

 

オペ子「ランボーさん、これ中国語っぽいですけど…」

ランボー「えっ」

 

タイで買ってきたと言っていたレッドブル、ラベルを見るとどう見ても中国語のような漢字の羅列ばかり。どうみてもこれは中国版レッドブルにしか見えない。

ランボー「本当だ!なんでこれ中国語なんだよ!タイで買ってきたはずだぞ!」

もう何もかもが怪しすぎる。3年前にタイで買ってきた中国版の金のレッドブル缶。何かこう小さなサイバーパンクを感じた。

そうやって皆でラベルを眺めていると、また気が付いてしまったある事実…

 

オペ子「私中国語読めませんけど、何かここに"18ヵ月"みたいなこと書いてますね」

オペ子「これって、賞味期限みたいなもんじゃないですか…?」

 

「あーホントだ」と言いながら、そのまま熱燗を飲むような手の形でクイっと飲みだすランボー。いやだから18ヵ月って言ってんじゃん。あんた今3年前って…

企画屋「どう、おいしい?」

ランボー「炭酸が無い…飲めなくはないな…」

ランボー、完飲である。

その飲みっぷりに圧巻され、飲み干した際にはなぜか「おぉー…」と感嘆してしまう皿、企画屋、オペ子の3人。オペ子に至っては小さく拍手をしていた。

ランボー、強い人だ。こういう人になりてぇ…(こういう人にはなりたくねぇ…)

 

その日の会議は3年前のタイで買った中国版レッドブルを以て終了。当初の予想通り会議によって得たものは何も無かった。笑顔にはなった。

解散間際にランボーが「あ、ごめん思い出した。行ったのはタイじゃなくてマレーシアだったわ」とか言ってたけど、もうそんなことはどうでもいい。

業務進捗だけで言えば、今回の会議は開催されるべきではなかったし今後も開催されないようにするべきなんだけど、業務を度外視したメンタル的な面ではめちゃくちゃ素敵な会だった。やっぱり人と会って話をすることはいいことだ。

 

そしてこの話、まるで後日談のように書いているけど、問題そのものは現時点でも未解決。現在進行形のお仕事というのが最大のポイント。

 

来週からも引き続き頑張ろう。

最近観たもの

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早速ですが、僕の夏(の連休)が終わろうとしています。あと数時間で終わります。というか、気持ちはもうとっくに終わってます。

サンキュー夏。サマー・オブ・ラブを忘れないよ。

 

仕事のカレンダー的には大型連休だったけど、夏休みの宿題的なお仕事があり微妙に身動きが取れずに、中途半端な余暇を過ごすことに…

派手な遠距離移動ができないので、遊べる範囲も狭くなんともこう…やることがなかった。

中途半端な束縛というのは、大きな暇を生み出すんですね。知らなかった。

 

本当にやることがない(思いつかない)ので、暇潰しにアバターのフィギュア風レンダリングで遊んでた。

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これらについては、実はフィギュアのように見せたいという狙いは全然なくて、単純に「僕のアバターモデルはこんなにも可愛い」ということだけをいかに具現化するかということだけを考えて遊んでた。なので、構図や台座などの「フィギュア風」のお約束事は敢えて無視してます。楽しかった…

 

あと、構図や色の使い方はKanye Westの"Gold Digger"のPVを意識してて、想定ではツイッターに投げればすぐに誰かから「お、カニエ風じゃん。渋い~」って言ってもらえるはずだったのですが、結局誰も気づいてくれなかったですね。

今度からは「“〇〇みたいだね”って言ってもらうことを想定して作って公開しています。ご協力をお願いします」と、ちゃんと意思を明確に添えて公開した方が良いかもしれませんね。

 

 

そんな風に暇を持て余していたので、大量にドラマ・映画・アニメを観まくった。その中からいくつかをご紹介。深い考察や感想はありません。(書けません)

 

ストレンジャー・シングス

とにかく登場人物のキャラクターがよかった。もう後半はスティーブ兄ちゃんを観るために追っかけていたところある。ホント好き。

全体を通しては、なんと言うか新しいスタンド・バイ・ミーのように感じた。基本的に前向き、向上心たっぷり。強い。

そして旧型のシボレーの車が欲しくなる。

 

 

ザ・ボーイズ

ビジネスとなったスーパーヒーロー業。スーパーヒーローを敵とした視点での復讐劇という痛快な展開で、観賞中に一切の精神的苦痛のない心に優しい作品だった。(性描写、暴力描写たっぷりのR指定ですが)

大人向け道徳の授業ですね。

ホームランダーがキモ過ぎて好き。

 

 

キャノン・バスターズ

優しい気持ちになってしまう。ストーリーもどストレートな展開で気張ることなく、どのキャラクターも愛があって大変よろし。もはやホームドラマ

そして旧型のキャデラックの車が欲しくなる。

あと、この作品だけに限らないけど、NetflixやPrimeVideoでのオリジナル配信アニメって、作画が安定してて良いよね。やっぱ地上波とネット配信だと納期云々のあれこれの違いがあって、こういうところに表れてくるんですかね?

 

 

交響詩篇エウレカセブン

僕はこれで3週目。4クール作品なので、結構体力使う。

もうヒロインという概念の結晶体みたいな存在ですよね。アネモネ

BGMにテクノを使っていることは有名だけど、月光号やLFOの機体名や型番等にあざといぐらいにDJ関連の用語を持ってきているのがニヤニヤできて尚良い。

しかしよくこれを週末の朝に子供向けとして放送したよね…

 

 

新世界より

多分2週目。世界観がぞくぞくする。一気に追い詰められることはなくても、逃げ場が一切無いというジリ貧な精神状態で生き続ける様がとても深くキマる。

原作小説、実は途中までしか読んでいない。いつか再開しようと思って早…何年経ったんだろう。

あと、アニメ版は”割れたリンゴ”のED映像が至高。

普段は意図的に使わないようにしている単語なんですけど、僕の中ではこれが「エモい」というヤツですね。

色々とインスパイアされまくってる。

 

 

天気の子

割愛

 

秒速5センチメートル  

もう言うことはありません。

 

雲の向こう、約束の場所

最高。

 

 

ARIA The AVVENIRE

新世界よりを観終わった後にこれを観たんですけど、もう幸せ過ぎて死ぬかと思いました。

真冬に外を出歩いて冷え切った体で、熱々の鍋焼きうどんを食べたときのあれ。五臓六腑に染み渡る温度。それを感じた。

ARIAはやっぱ良いね。そういや牧野由依のアルバムまだ買ってないや。

 

今回の連休では何かしらの創作行為を行わなかったので、達成感は得られなかったけど、同時にストレスも皆無だった。たまには何もせずに休むってのも大事。

 

良い夏だったなぁ。

 

 

できないものは、できない

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 ご無沙汰しております。

ちょっと先月あたりから仕事が立て込んでしまって、仮想空間にも顔を出す頻度が減ってしまった。ついでにブログの手も止まってた。

仕事を振ってもらえることに感謝しつつ、やっぱり自分は暇な時ほど無駄に語りたくなってしまうだなと自覚した。

まぁ、最近は少し落ち着いてきたし、つい先日に博士から「なんか書いて」とリクエストを頂いていたので、つらつらとなんか書こうと思います。

 

最近、DJ機材を入れ替えた。

ちょいちょい貯めていた休日出勤手当を解き放って買ったよ。アレヒ家のxone:4D。

 

Q: なぜPのDJMではなく、アレヒなのか?

A: イキりたかった

 

Q: なぜ92ではなく、96ですらもなく、4Dなのか?

A: TRAKTORのS8同等の機能が欲しかったから

 

Q: S8同等になれたのか?

A: なれなかったから、追加でD2買った。

 

Q: S8を買えば良かったのでは?

A: わかる~

 

この機材について語ることは、上記4つのQ&Aで完結してるので特にこれ以上テクニカルな話のネタは無いです。

 

ついに念願の4chミキサー。最強だ!よっしゃ!

…とは言え、もう既に4D使ったDJを某所で2回、かがみんさんとこで1回させて貰っているけど、当然ながら2ch分しか使えてない。使えないっていうか、使えるようになる未来が見えない。

しばらくは「ん~、今回はサボって2chしか使わなかったよ」と、あたかもスキル的には使いこなせるけど、気分に任せて敢えて2chしか使わないハイセンスな選択をしたみたいな雰囲気を出していこうと思います。

(ところで「xone:4D」って、なんか海外の顔文字みたいでかわいい)

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ネオン街の夜景みたいなってしまった。田と畑と山しかないこの田舎において、最も都市的に栄えているのはこのテーブルだ…

 

話は変わって、僕の友人について。

 

僕には幼い頃からの付き合いの長い友人が居ます。彼は学生の頃からバンド経験が豊富で、ベース、ギター、キーボード、DJ、DTM等ができる器用な奴。

先日、そんな彼にAbleton Liveやってみたい!という話題を振ってみたところ、「あれは音が出る表計算ソフトみたいなもんだから、エクセル使えるならイケる」という謎理論を頂いた。これだから音楽やってる奴らは…

 

Liveもそうだけど、「出来るようになったら毎日が楽しくなりそうだけど、難易度高そうで手が出ない」という、憧れと苦手意識が混ざり合ったものがいくつかある。

DTM (シーケンサー使った音遊び含む)

・VJ

・ラテアート

・ガス溶接

趣味で出来るようになりたい…というか、気軽に挑戦できるようになりたい。ほとんど気持ちの問題。アセチレンガス以外は。

 

その友人は、そういう趣味の第一歩を踏み出すのが上手い。しれっと始めちゃう。故に習得するスキルも多くなるのでしょうね。

性格の話なのか、考え方の話なのか…一体何がその原動力になるのか。少し羨ましい。腹いせに今度何か奢ってもらおう。

 

去年の今頃の僕なら、そういった精神的な勢いは強かったと思う。ガシガシとモデリングとかvvvvに挑戦して新しい遊びを覚えることに喜びを感じまくってたと思う。

今はあまりそういうのが無い。が、気持ちが色褪せた訳ではなくて、今手にしている事を、より深く知りたい。極めたいって言うと大げさなので、「知りたい」ぐらいの温度感。

 

仕事も趣味も、関心を広げるほど過ぎ去っていく情報"量"の認知度が高くなっていき、自分自身で何もしてないくせに何かをしている気分に一瞬だけ錯覚してしまい、それが覚め、後に残るのは流れに取り残され置いて行かれた石のような気分だけ。

そんな感覚が表面化してきたので、少し意図的に関心事を絞ってます。なんて器の小さい話だ。

視野を狭くするとか、情報を掴みにいくのを怠るとか、そういうのではなくて、諸々の"目的"の数を選定して絞ってる感じ。目的の為に必要なことは意欲的だよ。多分。

特に仕事においてはこの辺のモチベーションがかなり響いてくるので、セルフケアをしっかりやっていきたいと常々考えていてて、その一環として新しい物や遊びに過剰に手を出さないようにしてます。

…こう、文字に起こすと、めちゃくちゃ懐の狭いなんてつまらない生き方なんだって感じですが…まぁ仕方ない。できないものは、できない。というかあまり疲れたくない。

 

できないものはできないついでに、英語がいつまでもできない件について。

 

職場の上司から素晴らしいブレイクスルーをもらった。

一般的な日常会話レベルの英語力は習得できなくとも、皿さんの日常会話レベルの英語力なら余裕っしょメソッド。すっごい前向きな気持ちになった。

やっぱり年上の人との会話は良い。勉強になることだらけだ。

 

最近の僕、だいたいこんな感じです。

 

ランボルギーニは電気水牛の夢を見るか

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「今、自動車業界は100年に1度の大変革期を迎えている」

 

…と言われるようになって、もう3~4年が経つ。この「100年に1度」キャンペーンはいつまで続くのだろう。

 

そういうゴシップでよく取り上げられるのが"Connected(コネクティッド化)"、"Autonomous(自動運転化)"、"Shared/Service(シェア/サービス化)"、"Electric(電動化)"の4つのキーワード。略してCASE。

まぁ、そこで語られるのはおおよそがビジネスモデルの話であって、車そのものについては大して言及されていないことがほとんどだったりするので、現場に近いエンジニアほどこの話題に個人的な趣向としての興味が薄くなりがちだと思う。(必要性が無いわけではない、あくまで興が乗らないというだけ。もちろん偏見です)

 

とは言え、技術面で発展していないことなんてなくて、むしろ驚異的な発展をしている訳で。

 

ランボルギーニ アヴェンタドール SVJというお車があります。

www.lamborghini.com

アヴェンタドール自体は2011年から生産されているモデルなんだけど、これの最終仕様として2018年に登場したハイグレードがSVJ。テーマはReal Emotion Shape The Future。エモい~。

そんな彼に、搭載されている空力デバイスがちょっと凄い。


Behind the secrets of the Aventador SVJ: ALA 2.0 Aerodynamic System

 

今回は、これについてあれこれと想いを馳せる記事です。(長いよ)

趣味のネタとして適当に書くので、事実と異なることを言っても許してね。エンタメです。

 

 

1. ダウンフォースがすごく効く話

男の子なら誰でもダウンフォースって言葉は知ってるでしょう。物心ついた時には既に知ってると思うんだけど、どこで覚えてきたんだろうね。

実際のところダウンフォースってどのくらい効果があるの?というと、FIA GTやJAF GT、LMP等の所謂「ハコのレーシングカー」と呼ばれる類のものであれば、車速域が250km/hあたりからのハードブレーキングでタイヤ1輪あたり200~300kgぐらいは出る。車体全体では1t超え。

※一般的な乗用車での相場はごめんなさいちょっとよくわからない。ただ、競技車とは大きく乖離している感じがする。

 

このダウンフォースがどれほど効くかをイメージする為に、少し計算。

 

いかなる車であっても最終的な出力はタイヤグリップ。加速も減速も旋回も、いかにタイヤが路面に食いつけるかが肝。

そしてタイヤグリップとは、加減速であれば単純に摩擦力、旋回であればコーナリングフォースで表現されるけど、いずれもタイヤを路面に押し付ける荷重におおよそ比例してグリップが増える。(コーナリングフォースについては厳密には比例ではないけど、割愛)

つまり、荷重があればあるほど良いと言える…っぽい。そうでもない面もあるけど、今回は一旦言い切る。

 

荷重として真っ先に挙がるのは車重でしょう。車体の質量。

例えばアヴェンタドールSVJであれば、車重はカタログ値(乾燥重量)で1,525kg…ドライバーと油脂、燃料を入れて1,600kgとする。

前後重量配分が43:57なので、フロントタイヤ1輪あたりの荷重はざっくり350kg。

これが何もしなくてもフロントタイヤに入力される荷重。

 

仮にこのSVJのダウンフォースがタイヤ1輪あたり200kgだとすると、ダウンフォースによってタイヤグリップは1.57倍になる、と言える。1.57倍良くブレーキが効いて、1.57倍良く曲がる。素敵。

 

慣性質量を増やすことなくタイヤ荷重を得られるダウンフォースの恩恵、実はめちゃくちゃ大きい。

「荷重が増えるほど偉いのであれば、車を重くすれば良い」論のカウンターは書くまでもないので割愛。

 

なのでレーシングカーはダウンフォースで曲がっていると言っても過言ではなくて、場合によってはダウンフォースをより多く得るための車体姿勢になるようサスペンションをセットしていたりするぐらいには重要。

(もっと知りたい人は、「レーキ角」と空力の関係について調べるとより深みが増すので是非)

 

 

2. ダウンフォースが足をひっぱる

じゃあ僕も速く走りたいので、ダウンフォースたくさん欲しいです!!と思うのは、男の子なら当然な訳で。

ただ、ダウンフォース付与にもデメリットはあって、端的に言えば路面への押さえつけによって直進に対する抵抗が出る。つまり、最高速が伸びなくなる。

※ただし、ダウンフォース = 空気抵抗(ドラッグ)  という訳ではない。

 

なので、ダウンフォース付与量については、最高速とコーナリンググリップの背反の中でバランスの取れた落としどころを見つけてあげることになる。

例えば、ストレート区間の多いサーキットでは最高速優先にしてダウンフォースを少なくして、テクニカルなコーナーが多いサーキットではその逆で…といった具合に。

 

ダウンフォース取得を目的としたリアスポイラー等の空力デバイスは、ダウンフォース量のセッティングの為に迎え角の調整ができる機構を有しているものが多い。少なくとも競技用は確実に有る。

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AMG GT3のリアスポイラー。迎え角調整用のボルト穴がたくさん設けてある。

まぁ、これも突き詰めるとサーキット毎のセッティングというより、サーキットの区間毎で使い分けたくなる。ストレートでダウンフォース切って、ブレーキングでダウンフォース全開に。アクティブにバシバシと動かしたい。

…ところが、多くのレースでは空力デバイスを電子制御やメカニカルなリンクによって走行中に動かすことを何故か禁止としている。F1でDRSが登場してからこの風潮が変わると期待してたけど、未だにFIA GT各レースやSUPER GTでその気配は無し…寂しい。

 

スワンネックと呼ばれる構造のリアスポイラーがある。

スポイラー(羽)を上面からステーで吊り下げる構造のスポイラーがそれ。上のAMG GT3もそう。

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スワンネックのリアスポイラーを持つプリウス(V8)

 

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スワンネックではないポルシェ911(ミライアカリ)

従来の構造ではスポイラー下面側にステーが付く為に、下面側エアフローが多少なり阻害されており、ベルヌーイの定理的にダウンフォースが刈り取りきれていなかった。

そこをスワンネックにすることで、スポイラー下面のエアフローを阻害せずに最大限のダウンフォースが得られる!…というのが、スワンネック採用の理由として良く耳にする話。

 

…本当か?

そもそもダウンフォースは上下限に調整代を持っている訳なのに、そこを詰めてダウンフォース量を増やすメリットがあるのか…?

 

…これについては、高速域でスポイラーが強ダウンフォースを受けている際のステーの“たわみ”と、たわみによるスポイラー迎え角度への影響について想像をするとめちゃくちゃ面白い。あくまで想像なので事実は知らないけど。

 

という具合に、ダウンフォースとは諸刃の剣でもあるので、うまく付き合っていかないといけないわけです。性能的にも、レギュレーション的にも。

 

 

3. レーシングカーより過激な市販車

理想では状況に応じてダウンフォースを可変させたいけど、レギュレーションで禁止されている故にその機能が搭載できない。

モータースポーツってそもそもは技術力の競争という本質のはずなのに、実態ではいかにレギュレーションの隙間を縫って上手いことができるか勝負みたいなところがあるのでちょっともどかしい。

ただ、それも結局はこの界隈では資金の多さが技術の強さに直結し、強いチームほどスポンサーが集まるというものなので、何もかもがアンリミテッドになると常勝チームが永遠に買い続ける陳腐なものになることを避ける為だったりするので、否定もしきれない。BoPもその一環。

 

ちなみに、2018年シーズンのF1各チームの予算推定だと、下位チームが140~180億ユーロの予算に対し、メルセデスフェラーリのトップチームは550億ユーロ。約3倍以上の差がある。

f1-gate.com

 

レギュレーションとは面白いもので、今度はチームの予算に対して上限を設ける という策まで出てくる。何様ですか?

このF1では、2021年シーズン以降、各チームの予算上限を200億ユーロ未満で設ける動きがあり、それに対しトップチームらが「もっと金を使わせろ!」と反抗している状況だそうで。もはやただの政治的論争。めっちゃ面白い。

www.as-web.jp

基本的にレースというのは、運営側は興行としての成功を目指し、エントラント側は自チームの勝利を目指しているので、運営側の提案するレギュレーションは往々にしてエントラント側にとって厄介なものが多い。

勝てるように必死にマシンを開発してるのに、上位チームと下位チームの差が開かないように縛るレギュレーションが続々と追加されていくという、エンジニアにとっては終わらない地獄のような環境。残業が減ることは無いでしょう。お疲れ様です。

 

そういった理由もあり、F1以外も含めて実はレーシングカーというのは数多くの制約の中でしか作ることのできない肩身の狭いもの。特に皮肉なもので、直接的な「速く走る為の新アイテム」は規制されがち。

 

それに比べ、市販車はそういった制約はない。(各国法規の範疇の中で)

上述のアクティブに作動する空力デバイスも許される。

ある意味市販車は、無差別級のカテゴリーでの競争をしているとも見ることができる。(まぁ、ランボルギーニを市販車と呼ぶことに抵抗が無ければ)

売店のブログでも、

However, it does have one huge advantage over a racecar. Racecars have to adhere to certain rules, but with the Aventador SVJ’s aerodynamics, all the rules get thrown out the window.

と、粋なお言葉で綴られていた。

www.lamborghinipalmbeach.com

 

 

4. Aerodaynamica Lamborghini Attiva

アヴェンタドールSVJと、その他にもウラカン ペルフォマンテに搭載されるランボのアクティブエアロシステムがALA(Aerodaynamica Lanborghini Attiva)。

冒頭にSVJの動画リンクを張っていたので、今度はウラカンの動画を張っておきます。

解説的にはウラカンの方が少しわかりやすいかも。


Huracán Performante: How the ALA (Lamborghini Active Aerodynamics) works

 

これまで既にアクティブエアロ呼ばれるものは存在していてて、それらの構造は大体がフロントにしろリアにしろ、スポイラーの受圧面積や迎え角を変化させるものだった。


Porsche 911 turbo 「アダプティブ エアロダイナミクス」 解説ムービー

今では安価な車でも、リアスポイラーが上下するぐらいの可変なら搭載しているものも多くなった。軽自動車(S660)も搭載してる。

 

なので、僕もアクティブエアロとはスポイラーをちょびちょび動かしてエアフローの進行角度を若干変化させることで、ダウンフォースの利きが少し変化させる程度のものと思ってた。

 

ALAはそんな固定概念を消し去った。

エアフローの進行角度どころか、エアフローの流路そのものが完全に別物に切り替わる。むしろスポイラーの迎え角なんぞは全く動かさない。

あと、リアスポイラーの中を通過させるという変態極まりないことまでやってのけた。

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ALA ONの時のエアフロー (ダウンフォースMIN)

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ALA OFFの時のエアフロー (ダウンフォースMAX)

リアスポイラー通過させるエアフローの狙いは、多分ボルテックスジェネレーターと同様なんだと思う。意図的に空気の渦を発生させ、乖離していくエアフローを整流し後腐れなくお別れをするテクニック。

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かっこよすぎるでしょ

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シビック TYPE-Rのボルテックスジェネレーター

あと、ALAはダウンフォースを引き算でコントロールする思想。

システムOFF状態でダウンフォースが最大になり、ONになって走行状態に応じた適切なダウンフォースの減少を起こす。リダクションです。

ラカン動画では、「ブレーキング時に最大で750%(!)のダウンフォース増加となる」と謡ってるけど、実態としては「フルスロットル時にダウンフォースが7.5分の1になる」ということになる。

(というか750%の変化代ってすげえな…)

 

これ、とても合理的な作りだと思う。

この思想なら、デフォルトではとにかくダウンフォースを発生させるように設計をすることになる。ボディ形状やシャシー含めて。

狙いが明確なので、細部にわたって狙いを突き詰めた設計ができるのだろうなと。

ALAがもし「ダウンフォース増加も減少もする」システムだったとすると、じゃあボディ形状はダウンフォースをどの程度発生させることを狙って設計するのか?といった、少し狙いが浮ついた設計になってしまう気がする。そうなると、細部まで設計思想を張り廻らせたものは作れなくて、どこかで中途半端なものが生じてしまいがち。やはりコンセプトというものは明確であるに越したことはない。

(※あたかも、空力ありきでランボルギーニの開発が進められているかのように語ってますが、それについては後述にて)

 

あと、ALAは左右独立でコントロールができる。コーナリング時に旋回内側のタイヤだけにダウンフォースを加え、旋回性能を上げるという使い方まで出来る。

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Aero Vectoring

ドイツ車が得意とするアクティブダンパーやアクティブスタビライザーでのダイナミクスコントロールがあるけど、あれは結局は車体姿勢のフラット化を図るもので、タイヤ荷重自体はどうしようもないところだった。

車体がロールしないからドライバーの感覚的には「旋回中にもフラットでしっかりと足が地面に着いている」と思いがちだけど、タイヤ接地荷重で見ればそんなことはなくて、むしろ車体をフラットにする為に外側の足で踏ん張ることになるので、余計に内側の荷重は抜けていたりする。

コーナーを速く走るには、サボりがちな内側のタイヤをいかに使えるかが勝負であって、ドライバーの乗り心地なんてどうでもいいのです。

(僕個人的にはスポーツ走行をしないので乗り心地を優先して欲しいですが)

 

その点、このALAのエアロベクタリングは見事にそれを解決した。

シンプルな話で、内側だけにダウンフォースかけるので旋回中もしっかりと4輪全てのタイヤが仕事をする。ついでに、サスペンション周りで小細工をしなくても車体ロールも抑えることが出来る。良い事しかない。

 

構造も思想も効果も、全てが想像以上のシステムだったALA。

画期的すぎる。最高か。

 

 

5. 電気水牛の夢

先日、某カンファレンスがあって、そこでランボルギーニの講演もあった。

カンファはシミュレーションツールのメーカーが主催のものなので、どの講演もシミュレーションに関連するものだけど、その中でもこのメーカーの話がとても印象深いものだった。

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車の設計の流れについて。

こればかりはメーカーによって違うだろうし、僕も人から聞いた話しか知らないので全てが想像の域を出ないけど、多分大体は

 (1) 商品コンセプト

 (2) デザインコンセプト

 (3) プラットフォーム,  パワーユニット

 (4) ボディ、シャシー (空力もここ?)

 (5) その他

の大きな流れなんじゃないかなと思う。開発の時期の流れではなく、開発要件の流れ。

 

ランボさん家はちょっと違ってて、曰く、

 (1) 商品コンセプト

 (2) 空力要件

 (3) デザインコンセプト / ボディデザイン

 (4) その他 (省略)

とのこと。空力の身分が庶民のそれとは違う。

そりゃ普通の車とは別格のものになるわけだ。

 

そして空力についての設計は、シミュレータを大いに活用しているとのこと。

 

彼らがシミュレータで得る演算結果は、「ある仮定した設計仕様で得られる計測結果」ではなく、「ある結果を得るために必要な設計仕様」とのこと。

そして、その「ある結果」というのは、「各サーキットでの最速ラップタイム」だそうで…

 

いや、まぁ…うん、わかる。言ってることはわかる。

何かもう神の領域じゃん…

 

シミュレータというのは、雑に言えばループする物理演算ソフト。

粒度で言えば、サスペンションのバネひとつひとつの伸び縮み程度の算出は当たり前で、1mmのフレームの歪みや1ccのブレーキフルードの動きまで算出するほどのものが現在の主流。

主流といっても、ほとんどは欧州の話。

(カンファも欧州OEMやタイヤメーカーの講演ばかりだった)

 

もともとシミュレータはモータースポーツでの用途が多くて、最近になってそれを市販車開発に転用するようになり、モータースポーツ以外の部分でも注目されるようになった。

なので元々モータースポーツが盛んな欧州勢はシミュレータ設備とノウハウを持ち合わせているから、他に対して圧倒的なリードをしているという背景がある。

モータースポーツで培った技術を市販車へフィードバックする」という謳い文句はこれまでいろんなところで散々聞いてきてて、どれもあまりピンとくるものが正直無かったんだけど、このシミュレータの転用というものがずばりモータースポーツ技術の市販車へのフィードバックというものではないだろうかと感じた。

 

シミュレータ開発はダイナミクスコントロール以外にも、自動運転関連のところでも大いに活用されている。らしい。詳しくは知らない。

物理的に欲しい結果(状況)を指定すれば、それを得るために必要な特性、構造を叩き出してくれるわけなので、何にでも転用できるインフラなのだと思う。

(演算の中身としては、車両の仕様パターンを自動で網羅的に設け、全パターンでの演算を回して結果を比較し、最も良かったパターンを結果として出力するものだったりする。それを人手を使わずに機械的に回せるということに莫大な価値がある)

 

そして欧州勢はもう10年以上前からもこういうことを取り組んでいる。

あと、向こうは自動車開発に関して行政や大学との連携が深くて、国全体で開発を推進する体制が出来上がっていたりする。

日本企業、彼らに勝てるのか…?というか同じ土俵に上がれるのか…?

 

ただ、まだ現状ではシミュレータ演算結果と実物での結果に乖離はあって、最後には人手によるチューニング的なプロセスは残っているらしい。これはどのメーカーも言っていた。

それも今後シミュレータの精度が上がっていけば、いつかはヒューマンレスの開発プロセスになるのかもしれない。

 今だってもう、人が手計算でやった結果より、電卓で出した結果を信じるでしょう?

それがもっと大きな規模で浸透するわけです。

 

エンジンが電動モーターになろうが、ドライバーがAIになろうが、おそらく車という物は形を変えながらも消滅はしないと思う。今後も“自動車産業”と呼ばれる界隈は存在し続けるのでしょう。

ただし、その産業に今の形態でのエンジニアという存在が含まれているかどうかは怪しい。

 

「今、自動車業界は100年に1度の大変革期を迎えている」

 

言い得て妙なのかもしれない。

解釈の個人差

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確か今年の2月末。いや、3月入ってたかも。とにかくその頃。

治安の悪い某マンションの地下にあるクラブで、深夜に一人で佇む綺麗めな方が居たので、ちょっと声をかけてみた。

「君、かわいいね。よかったらウチのVに出てみない?」って。

 

その方は、ヨツミフレームさん(https://twitter.com/y23586)だったんですけどね。

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快諾していただけました

 


vvvvで作るVJ…うーん…まぁ、一旦VJとして扱おう。VJの話。

(僕の作る映像は自分自身ではVJではないと思ってるけど、今回そこは論点ではない)

 

以下は先日、5月3日に某クラブでお披露目となったヨツミさんコラボのVJ映像についての記事なんですが、そのVJ映像自体を見ていない方がほとんどだと思います。

運良くVJ映像を見た方はその映像を思い浮かべながら読んでもらい、未視聴の方は今後も今回のVJ映像を使用してDJをしますので、次回以降で今回の記事を踏まえて視聴頂ければと。

 

僕はこれまで既にいくつかVJ用の映像を作っていました。

自分のアバター(=自作の3Dモデルのキャラ)を主体にし、DJの音に合わせてキラキラしたりピカピカしたりパァーっと広がったりシュッと消えたりする感じの映像です。(伝われ)

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こんな感じ

それの拡張版として、"7.5pep"という某仮想3人組ユニットを主体とした映像も作った。

7.5pep版製作当初は今までのソロでのVJ映像同様な雰囲気で作ろうと思ってたけど、完成した7.5pep版VJ映像はもはや簡易的なミュージックビデオになっていた。


7.5_8/2_"shelter"

7.5pepVJは、八月二雪さんによるカバーのshelterを基に作った。

曲の展開に合わせて、midiコンにてリアルタイムに映像やエフェクトを切り替えて繋いでいき、一つのミュージックビデオにします。

ただ、このスタイルなら別にリアルタイムでmidiコンを用いた操作をしなくて、普通にAfterEffectsで動画として作ればいいじゃんって正直ちょっとだけ思っていました。

「まぁ、せっかくだし」という何の根拠もない理由でvvvvでやりきりましたけど。

 

ちなみに僕、八月二雪さん大好きです。

shelter以外のカバー曲やオリジナル曲もたくさん作られていらっしゃるので、ぜひ聴いてください。良いよ。

www.youtube.com

 

ただ、ミュージックビデオVJ(?)にはひとつ難点があって、現状のVRC環境ではtwitch等ストリーミング再生時の映像と音のズレが不可避っぽいので、VRC内のDJの際に7.5pepVJを使っても、僕が意図した構成のまま他のプレイヤーの皆さんに見てもらうことはできない。

発信側が曲の展開に合わせて切り替えても、視聴者側では全然違うタイミングで映像が切り替わってしまう。

せっかく作ったのに正しい形で見てもらえないのは悔しいので、動画にしてyoutubeにアップしたんだけど、それってもうVJでもなんでもなく完全にただMVじゃん…ということに後々気がつきました。(動画録画の際にはちゃんとmidiコンでポチポチvvvvを操作しています。信じてください)

 

まぁ、発信する方法で若干躓いたけど、ソロも7.5pepもどちらの映像自体はかなり高い自己満足度に達した。今まで漠然とイメージしてた「こんな画が見たい」という欲求が具体的な形になったのだと思う。

ところで今年のCoachellaのPerfumeライブ中継映像すごかったですよね。あれです。僕が好きな映像って。

 

そんな感じで気に入ってる2つのVJ映像なんで、若干の改修をしながらもしばらくDJのお供として使い続けていた。

…が、人間やはり欲深いもので、使い続けていくと徐々に飽きが表面化してくるんだよね。これは仕方ないこと。仕方ない。

 

そこで、新しくVJ映像を作ろうと決意し、冒頭のヨツミさんの話に至ります。

 

今回の新作Vも、当初はこれまでのセオリー通り、

 (1) 3Dモデルを配置する

 (2) カメラワークを決める

 (3) なんか綺麗な光とかリングとか適当に置く

 (4) 音に合わせて色とか良い感じになるよう上手いことする

の4ステップで作り上げようとしていた。ヨツミさんの3Dモデルをお借りして。

…ただ、それだと今までの延長線上に過ぎない。飽きが解消されない。

というか、実際ある程度のところまで作っていたんだけど、やはり案の定今までの映像と似たようなものがそこにはあった。

 

やっぱりね、作りたい画を自分で考えると無意識のうちに自分の好みに寄っていっちゃんだなと。無意識に適当な料理を作ると、いつも同じようなメニューになっちゃう的な。

ここに結構大きく躓いた。何度白紙に戻しても何にも新しい画が思いつかない。

結局、現時点でもこれについては根本的なところでは克服できていない。難しい……

 

今回、このお悩みについては「そもそも自分で創造しない」という画期的な方法で対処した。僕の代わりにヨツミさんに考えてもらえばいいのです。天才か?

 

ヨツミさんへ具体的に依頼した内容は、

なんでもいいから好きなもの複数個教えて」というもの。

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僕の粗末過ぎる質問に対し、戸惑いながらも正面から受け止めてくれる優しい方

何かテーマをヨツミさんに決めてもらって、そのテーマを僕が勝手に解釈して形にするという手法を図った次第でございます。

ネタバレは面白くないので頂いたテーマは公表しないけど、テーマはどれも奥行きのあるものばかりで自由に解釈をする余地が多分にあり、のびのびと各テーマについて気持ちいい思考ができた。楽しかったなぁ…

テーマ毎に短いループ映像を作り、全体ではそれらのテーマ(ループ)をBPMに合わせてスイッチすることでVJ映像として構成した。(諸々の制約があり、今回のVJでは最終的にテーマ数は8個に落ち着いた)

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一例です

テーマを映像にするにあたっては、そのテーマを僕なりに解釈する過程があったけど、今回は敢えてそのタイミングでテーマの源泉であるヨツミさんとの会話はしていません。
なので、テーマの解釈には、ヨツミさんと僕との間で確実に乖離が生じています。

乖離どころか、そもそも方向性も180°異なっていたり、次元数も違うかもしれない。

 

そういった“解釈の個人差”によるランダム性のようなものや、想定と結果のギャップを楽しみたかった訳です。

 

僕の作るVJ映像は、フラクタルグリッチ等で得られるランダム要素が少ない。意外性が無いと思う。まぁ、欲しい画がそういう画ではないから、なるべくしてなっているんだけど…

もちろんvvvvのノードとしてはRandom spreadは愛用しまくっているけど、ただそれも結局は判定閾値を任意で決め、Random spreadの出力値と判定値を比較した結果を得ているだけなので、少し離れた視点ではあまりランダム性という楽しみはちょっと少ない。

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RandomSpread君。inputのSeedをインクリメントしていくと、任意の範囲内でのランダムな出力値を返してくれます。

これについて考えていくと、「自分でコントロールできない領域でのランダムじゃないと、楽しめないのでは?」という、若干危ない香りのする結論が出てきた。

 

最も身近な“自分でコントロールできない領域”は、“他人の思考”なんですよね。

他人の思考とか解釈なんて、相手と会話をしない限り絶対にわからない。

わ、何それめっちゃ良いランダム性~。想定との乖離~。良い~。 みたいな感じのノリ。

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ただね、この視点での楽しみ方って、ヨツミさんしか味わえないんですよね……

とまぁ、映像の見た目の以外にも、こういった誰にも伝わらない思惑があったりしたのが今回のVJ映像でした。

このまま黙ってたら絶対誰にも伝わらないなと思い、ここに書き残していきます。

(誰にも伝わらないコンテンツばかり作ってんな…)

 

映像としても、約60分のDJの間に色が変わったり白抜きになったりと変化することで、「この空間はどちらが主体なのか?」という認識の変化を狙ってたりするんだけど、ちょっとそれ以上説明するのは恥ずかしすぎるので、そのあたりも見て頂く方々に自由に受け止めて貰えればいいなって思ってます。

次にDJをする際には、そんな目線で見るのも良いかもしれません。いちばんは踊ってもらうことですが。

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あわよくば、僕自身が何も考えていない部分までピックアップして素敵な解釈を付与して楽しんでもらえたらなー…なんて

今回、モデルデータ提供やテーマの提供をご協力いただいたヨツミフレームさんには本当に感謝です。ありがとうございました。

製作期間が長くなってしまいましたが、製作過程もかなり楽しかったです。良い刺激になりました。またどこかで一緒にやらせてくださいね。

 

星を撮りたい

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もうすぐ連休ですね。

僕の会社のカレンダーの表記では10連休となっており大変ありがたいのですが、個人のカレンダーでは何故か数日ほどお仕事が入っています。ごきげんよう

そのように個人的には大型連休というわけでもないので、どこか遠い土地へ自分探しの旅に出ることもできず、なんとなくふわっと浮足立った中途半端なレジャー気分だけを味わい、ただただ時間だけが過ぎていくのでしょう。

 

唐突ですが、僕、星眺めるのが好きなんですよ。

以前は隙あらば星空スポットを巡るようなことをしていたのですが、去年は某VRゲーム、今年は仕事に沈むようになったこともあり最近全然見れてないんですよね。

まぁ、見に行く時間が無いというよりも、見に行く気力が起きないというのが正確な表現ですね。つまらん大人になってしまった。

 

最初は望遠鏡で眺めることから始めてたんですけど、そのうち写真も撮りたくなり、カメラを購入したのがだいたい4年ぐらい前。

CanonのKiss x7を買ったのですが、購入時に店員さんから「運動会や家族旅行など、荷物が多くなりがちなお子様とのレジャーにぴったりですよ」と説明されたの今でも覚えてます。独身の男が星を撮るために買ってすいませんでした。

 

そして、ネットで撮り方を調べ、初めて撮った一枚がこちら。

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はじめてのオリオン

上手いとか下手とかいうレベルですらなかった。買いたてほやほやのカメラからこんなん出てくるのは結構ショックだったなぁ…

 

でもまぁ、ちょうどその頃は「宙のまにまに」と「planetarian」にハマってた時期で、星に対するモチベーションは維持していたので、この後もめげずにちょいちょい練習を重ねるうちに、徐々にそれっぽいのが撮れるようになってきて加速度的に楽しくなってきましたね。

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秩父にて

 

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宮古島にて

 

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渋峠にて

 

僕は写真現像の際、ガンガンにレタッチで色や明るさを付けて遊びます。

新海誠を見て育った類の人類なので仕方ない。夕焼けは赤から青へのグラデーション、水面は常にきらっきらと光り、風が吹けば紙飛行機が舞い上がる。そういうが正しい世界だと信じてるタイプのオタクです。

なので仕上げる方向は、どうしてもアニメっぽい雰囲気になりがちです。

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九十九里浜にて

レタッチをやってみると、全体の色温度を変えるだけでも印象が大きく変わったり、意外と星がひとつひとつ違う色で発光してるってことにも気が付いたり、偶然流れ星が撮れてるのに気がついたりと、作業の中に喜びポイントが散在しているのでかなり幸福感が湧いてきます。

逆に言えば、そういう結果を予想できていないまま撮影している…つまり、適当にシャッターを切ってるってことなんですけどね。

そのぐらい適当に遊ぶ感覚の趣味が心に潤いをもたらすのでしょうね。きっと。

 

 

……記事を書いたら、少しは連休中の行動意欲が湧いてくるかと期待してましたが、どうやらその効果は無さそうです。まずいなこれは…

 

連休、何しようかな…

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渋峠は良い場所。行きましょう。