解釈の個人差 その2
ようやく完結を迎えたVJ映像のお話。
「ヨツミフレームさんと一緒に遊ぼう!」シリーズ完結編です。シリーズ名はたった今付けた。
映像自体は先日某所(4面透過)で回したので、それを見て頂けた方はそれを思い出しながらこの記事を読んでもらい、まだ見て貰えていない方は今度見る機会があった際にこの記事を思い出して貰えるとちょっと楽しい気持ちになれるかもしれません。
このヨツミさんとの映像製作は、簡単に言うとヨツミさんが挙げたキーワードを基に、それぞれに解釈を膨らませて映像として表現していくというもの。
最大のポイントは「ヨツミさんがどういった想いでキーワードを選んだのかを僕は一切知らず、僕がどういった解釈で映像にするかをヨツミさんは一切知らない」ということ。解釈の個人差を楽しむことに趣を置いており、それについては過去記事参照。
なお、解釈の個人差を楽しむという面については映像を見て貰っている方々全員も対象者な訳で、映像を見て何を感じ、何を関連付け、どのように解釈するかは各々で自由にやって貰えると嬉しいです。
このコンテンツ、受け手が居て初めて完成するものなので。
そして今回の映像の話ですが…先述の通り、この映像は自由に解釈をすることに最大の趣があるので、以降の記事は場合によってはその楽しみを食ってしまう可能性があります。(決定的なネタバレ的なものはありませんが、若干の解釈の補足的なものはあります)
なので、コンテンツの味を無添加でそのまま味わいたい方は、下記の記事を読むのは実際に映像を見て貰った後にした方が良いかもしれません。
何卒何卒…
で、今回の映像について…
今回もヨツミさんから貰った8個のキーワードを基に映像を組み立てた。
とは言っても、実はキーワードを新たに8個貰った訳ではなく、春に公開した1作目の製作開始時点で既にキーワードは全部で16個挙げて貰っていて、それを前半/後半8個ずつの2グループに分け、映像としても前編/後編2部構成としていた。その後編パートが今回のもの。
詳しくは敢えて聞いていないけど、キーワード自体は当然として、2グループへの分け方も、更にはその順番にさえもヨツミさんは意味を持たせている。頭の先から足の指先まで意思を詰めることができる。そんな方なのです彼は。シビれるよね。
ちなみに、この映像を作りこんでいる最中に"アスタリスクの花言葉"が公開され、「あぁ、これは本当に強い人をナンパしてしまった」とプレッシャーを感じながらも、「思考がめちゃくちゃ深い彼と、僕の思考が一致するはずがない」と解釈差の確信に安心もしていた。常に懐を借りている気分。
前編の時は、ヨツミさんからもらったキーワードをそのままの言葉で映像に落とし込んでいったんだけど、今回はちょっとワンクッション挟んで「僕が解釈をした結果」のキーワードを生成した。
ヨツミワード⇒皿ワード⇒映像 です。
皿ワードを生成するにあたっては、かなり捻くれて、斜に構えて、卑屈になって、エゴな解釈をした気がするので、多分皿ワードの単語だけから逆引きでヨツミワードに到達することはほぼないと思う。
ということで、皿ワードのみご紹介。
「 」 ⇒ 「Read me」
「 」 ⇒ 「Color」
「 」 ⇒ 「Notification」
「 」 ⇒ 「Social」
「 」 ⇒ 「Account」
「 」 ⇒ 「Observer」
「 」 ⇒ 「Self-sacrifice」
「 」 ⇒ 「Hub」
これらの8単語(×2)の表現を映像でしているわけです。
映像のどこからどこまでがそれぞれのキーワードの領域なのか?というメリハリを欲してしまいがちだけど、今回はそういう明確な線引きはない。「なんとなくこの辺りはこれだな」という置き方はしているけど、その遷移はシームレスになるようにしている。ここも人によって感じ方の差が出てくる場所なので、各々で捉えて楽しんでね。
ヨツミさんのキーワードについて、今回の8個、そして前回の8個を合わせた全体の16個を順番に見ていくと、ぼんやりとストーリーと心境変化の輪郭があって、そして明確な着地点があった。到達点かもしれない。(その先があるかどうかが僕には読めない)
これは個人的な好み・趣向の話でしかないけど、この16個の終盤の姿勢とエンディングが本当に好きで、キーワードを解釈している時は心が終始震えていた。感情と心境の錯綜を楽しんでました。(※ただし、皿の解釈につき、ヨツミさん本人の意図はこの限りではない)
最終兵器彼女みたいなVJしたいって常日頃思ってる
— 皿洗い@七人の侍 (@wrx_overrun) 2019年10月27日
まぁ、このまま漠然としたお気持ちを書き続けても誰にも伝わらないので、一部だけを抜粋して具体的なお気持ちにしてご紹介します。
「リプライが来ないと関係は終焉を迎えたと思ってしまうし、リプライが来ると至近の存在だと思ってしまう」
「夢のワンダーランド(AM2:00)」
「鳥居をくぐることができない彼女と、彼女の存在を知らない彼女」
…全体的にこんな感じです。(どんな感じだ)
御覧の通り、説明したところで結局その説明を受け止めるための解釈が必要なので、最初から自由に解釈してもらった方が良いんだと思う。
そして今回は選曲の方もこの思考をベースにして組み立てた。雰囲気やメロディーだけでなく、歌詞や曲名の意味合いをテーマにシンクロさせるようにしたり、そうでなかったり。
— 皿洗い@七人の侍 (@wrx_overrun) 2019年11月9日
なので、その影響でというか僕の実力不足というか…DJという面については今回はあまり機能していなかったと思う。曲をフルでかけてストップ&プレイ。まぁ、歌詞の力を借りている以上途中で切ることをしたくなかったので仕方がない。ただ、これはそうしたくてそうしていることなので、別に反省とか後悔とかは無い。満足しきって自己肯定しかないんだな。ぬふふ。
ここまでやってくると、沸々と「これは果たしてDJなのか?そしてVJなのか?」という疑問が出てくる。少なくとも自分自身の感覚ではDJをしている感覚は薄いし、VJをしているというのもちょっと違う気がする。
そして昨日、回し終わった後に何人かの方から「ちょっとした映画を見ていたような気分になった」と言ってもらえたことで、何となく掴んだ気がする。
これはポエムなのだと。楽曲と映像付きお気持ち表明なのだと。スッと腹落ちした。今後はクラブDJ等とは言わずに、クラブポエマーとして引き続き変わらぬ姿勢で頑張っていこうと思います。
なお、公開後(というより、この記事を書きながら)には、今回の全ての解釈を記述したドキュメントを彼に渡したけど、もはやこれは恋文だなって。彼の思想へのラブレターです。
振り返ってみるとヨツミさんを地下のクラブでナンパしたのが今年2月で、それ以降約9ヵ月に渡って構想含めた製作を続けていたこのシリーズもようやく完結。今年はこれの為にvvvv続けていたと言っても過言ではない。愛してたぜvvvv。
これの完成までDJをしないというのも嫌だったので、最近ではこのシーンの一部だけを切り取ってVJとして活用してちょいちょいDJをして遊んでた(辛抱強くないもので…すいません)
なので、それを観てくれていた人にしてみると、見覚えのあるエフェクトがちょいちょいあったと思う。ちょっとぐらい既知の要素が紛れ込んでる方が楽しいよね。アニメに知っている土地が出てきた時の感覚みたいで。
今回の製作にあたって、前回に引き続きご協力を頂いたヨツミフレームさんには改めてお礼を申し上げます。素敵な遊びと体験をすることができました。本当にありがとうございました。
今回作った映像、そして前回の映像も今後も使ってDJをしていこうと思っているので、また機会があった際には改めて色々な角度での解釈をしながら楽しんでくれると嬉しいです。